活動レポート

親子で学び旅「福島スタディツアー2024」

2024.12.20

パルシステム東京では、東日本大震災発生後、「3.11を忘れない」を基本視点に2013年から被災地をめぐり、現状を知るツアーを開催してきました。コロナ禍で組合員参加のツアーは中止しておりましたが、昨年度の「宮城スタディツアー」に引き続き、12月14日(土)~15日(日)「福島スタディツアー2024」を開催し、福島県いわき市、大熊町などを組合員、役職員20名で訪れました。

【1日目】福島県いわき市「おれたちの伝承館」

「おれたちの伝承館」代表の中筋純氏が熱い想いを語ってくださいました。

1日目は、福島県南相馬市からいわき市に南下する形で震災にまつわる施設を訪問・視察をしました。まず訪問したのは南相馬市小高区にある「おれたちの伝承館」です。アートを通して福島の被災や原発事故を伝えています。

代表を務める中筋純氏(写真家)が迎え入れてくださり、施設の成り立ちについて語ってくださいました。

震災当時の写真を目の当たりにすると、芸術を基盤とした被災への想いがギッシリと詰まった場所であると実感しました。

天井の作品を観る参加者

天井の作品を観る参加者

天井には一番大きな作品が飾ってあり、その下には畳が敷いてあります。この作品を仰向けになって観ることができるよう、作家が工夫しているのです。

下から見えるアート作品に心が奪われます

下から見えるアート作品に心が奪われます

下から見えるアート作品に心が奪われます

震災当時の写真もあり、参加者もじっくりと見ていました

【震災遺構 請戸小学校】

浪江町 震災遺構 請戸小学校

浪江町 震災遺構 請戸小学校

バス移動で訪れたのは、浪江町にある震災遺構「請戸小学校」です。今回の旅のアテンド藍原寛子氏(フリージャーナリスト)に解説をしていただきながら校舎を観て周りました。小学校が位置する請戸地区は、津波による死者が127名、行方不明者27人と、多くの犠牲を出しました。海から300mに位置するこの小学校も、だれも経験したことのない長い揺れに襲われました。校舎には下校した1年生11人を除く、2年生から6年生までの児童82人が残っていました。教職員はすぐに児童に避難を促し、学校から約1.5kmの避難場所である大平山に避難しました。地震発生から約40分後に小学校は津波の被害に遭いました。児童と教員の全員が無事に非難をすることができています。

【東日本大震災・原子力災害伝承館】

東日本大震災・原子力災害伝承館の館内で説明を受ける参加者

東日本大震災・原子力災害伝承館の館内で説明を受ける参加者

東日本大震災・原子力災害伝承館の館内で説明を受ける参加者

放射能を除去した土壌を入れるフレコンバック

「東日本大震災・原子力災害伝承館」ではまず展示見学をしました。参加者の中には小学5年生6年生の参加があり、震災当時は生れていない子どもたち。実際に体験したことのない地震や津波の映像、写真を真剣な眼差しで観ていました。「どこか他人事のように感じていたけれど、被害の大きさに驚き、とても勉強になりました。」と語ってくれました。衝撃を受ける映像や写真が多くありましたが、震災当時の自分の記憶を呼び覚ます時間となりました。

【2日目】「たらちねクリニック」訪問とアテンド藍原寛子氏による「防災」レクチャー

「たらちねクリニック」入り口

「たらちねクリニック」入り口

「たらちねクリニック」入り口

「たらちねクリニック」院長の藤田先生の説明に耳を傾ける参加者

「いわき放射能市民測定室たらちね」は、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、2011年11月13日に開所しました。被災地の母親たちが、家族と子どもの命を守るため、安全な食材を求めて生きるための放射能測定を始めました。その活動を、地域の有志が運営委員として支え続け、全国の支援者の協力のもと現在の活動に至っています。

 

「たらちねクリニック」放射能測定室見学と、アテンドの藍原寛子氏から「防災」に関してのレクチャーの様子

いわきワンダーファーム

「たらちねクリニック」での見学と防災学習の後に、参加者同士の交流も兼ね、昼食交流会を「いわきワンダーファーム」にて開催しました。ここは全国でも珍しい「トマトのテーマパーク」となっています。トマトベースのいろいろなお料理を食べながら、今回の旅で出会った参加者の母親や子どもたちは、スタディツアーを振返り交流を深めました。東日本大震災以降に福島県で産声を上げたこのレストランは、福島第一原発事故により深い傷を負いました。しかし、震災以前より福島県は『農業王国』と呼ばれ、素晴らしい風景や食文化を持っています。もともとある福島の自然環境がもたらす素晴らしい(WONDERな)作物や農家の存在、農業そのものを資源とし守り継ぐために、農業の活性化により失われた福島の元気を取り戻すために経営をしています。震災以前は別の姿であったこの場所も、新しい施設が生まれることにより復興への道を歩んでいると感じました。

晴天にも恵まれ、昼食交流会では参加者同士の会話が弾んでいました

晴天にも恵まれ、昼食交流会では参加者同士の会話が弾んでいました

晴天にも恵まれ、昼食交流会では参加者同士の会話が弾んでいました

大きなトマトのモニュメントがお出迎え

【いわき震災伝承みらい館】

昼食交流会の後は、この旅での最後の訪問場所である「いわき震災伝承みらい館」を訪問。ここは地震の被害に加え、津波の被害が大きく、多くの犠牲者があったいわき市の震災の記憶や教訓を後世に伝えるために設立されています。館長の高田氏が小学生の参加者にも分かりやすいように震災前と震災後の写真を比較しながら映像も交えて説明をしていただきました。参加者の多くは説明に聞き入り、流れる映像に衝撃を受けたような表情をしていました。また、展示ブースでは「奇跡のピアノ」の現物も展示されており、参加者の多くが展示物や写真をじっくりと見ていました。

いわき震災伝承みらい館の前に広がる美しい海

いわき震災伝承みらい館の前に広がる美しい海

館長の高田氏による震災当時のお話しを聞き入る参加者

館長の高田氏による震災当時のお話しを聞き入る参加者

「奇跡のピアノ」の現物が展示されています

お問い合わせ

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生活協同組合パルシステム東京 政策推進課
paltokyo-seisaku@pal.or.jp
月曜日~金曜日 9:30~17:00

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