活動レポート

食の安全学習会「遺伝子組み換えでない」表示がなくなる?!~Non-GMOに取り組む産地からの声~

2022.12.16

12月3日(土)農民連食品分析センター・八田所長を講師に迎え、遺伝子組み換えの基礎や、2023年4月に改正される「遺伝子組換え表示制度」を学ぶ学習会を開催しました。(参加者51組)

新たな「遺伝子組換え表示制度」に合わせて変更するパルシステムのGMOマークも解説。また、遺伝子組み換え不使用の商品づくりに取り組むパルシステムの「圧搾一番しぼり菜種油」と「いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳」の取り組みを紹介しました。

圧搾一番しぼり菜種油

圧搾一番しぼり菜種油

原料は、国際産直提携を結んでいる、オーストラリア・カンガルー島産の非遺伝子組換えの菜種のみを使用。一般的な食用油は、石油系の抽出溶剤を使って搾った「二番搾り」をブレンドしたものもありますが、パルシステムの『圧搾一番しぼり菜種油』は、圧力で搾った「一番搾り」のみ。クセが少なく、揚げ物もカラッと揚がります。加熱に強く、酸化しにくいので、使ったあとにきちんとこせば、くり返し使えて経済的です。

いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳

いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳

日本の畜産業は、飼料に使用するとうもろこしの多くをアメリカからの輸入に頼っていますが、『いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳』は、飼料の原料すべてに、非遺伝子組換えのものを使用。粗飼料の約70%は、自家栽培のデントコーンや牧草で自給しており自給率の向上にも積極的に取り組んでいます。

また、市販の牛乳でもっとも多いのは、120℃以上で2~3秒間加熱する「超高温瞬間殺菌」ですが、『いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳』は65℃で30分間殺菌の「低温殺菌」。生乳の自然な風味を残し、上品な甘みが特徴です。

 

 

学習会のスタートです!

遺伝子組み換え食品とは?

農民連食品分析センターの八田所長

遺伝子組み換え食品とは?

農民連食品分析センターの八田所長に、遺伝子組み換え食品の基礎と、2023年4月に改正される「遺伝子組換え表示制度」について、解説をしていただきました。

八田所長からは「遺伝子組み換え技術の向こう側には知的所有権やライセンス料などが隠れていて、世界の食の主導権を争っている。こういう構造の延長線上に普段の買い物もあるので、自分のお金や気持ちを誰に届けたいか、誰と繋がっていたいか、考えて買うものも選んでほしい。」と私たち消費者へのメッセージもいただきました。

パルシステムの新しいGMO表示

パルシステム連合会の八幡課長

パルシステムの新しいGMO表示

パルシステム連合会 広報本部の八幡課長は、「遺伝子組換え表示制度」の改正に伴い変更する、パルシステムの新たな遺伝子組み換え食品の方針や表示について、解説しました。

「パルシステムの遺伝子組み換えマークは4月から変わりますが、商品づくりのこだわりは今までどおり変わりません。」と八幡課長。

Non-GMOの菜種を求めて 圧搾一番しぼり菜種油

平田産業の中村さん

Non-GMOの菜種を求めて 圧搾一番しぼり菜種油

平田産業(有)の中村さんからは「圧搾一番しぼり菜種油」の原料、搾油、精製方法のこだわりについて、解説をいただきました。

中村さんは「オーストラリアのカンガルー島の生産者との長年の交流により、信頼関係を築き、安定した菜種の供給につながっています。」と話されました。

Non-GMOの飼料を求めて いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳

奥中山高原農協乳業の五十嵐さん

Non-GMOの飼料を求めて いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳

奥中山高原農協乳業(株)の五十嵐さんからは動画も交えて、非遺伝子組み換えの飼料を使うこだわりや、「いわて奥中山高原の低温殺菌牛乳」の特徴を解説いただきました。

五十嵐さんは「商品を切らさぬよう原料乳確保のため、Non-GMO酪農家の拡大に努めています。」と力強い言葉をいただきました。

質疑応答

質疑応答

参加者のみなさんから「遺伝子組換え表示制度」や「菜種油の製法」、「乳牛の飼料」についてなど、質問が寄せられました。

五十嵐さんからは「輸入飼料の高騰を受け、今年11月から乳価が1kgあたり10円引き上げされるが、飼料以外でも電気、ガス、水道、石油なども上がっているため、その分で補えるかはこれから様子をみないとわからない」と回答。価格高騰による不安の声も聞かれました。

 

最後は感謝の気持ちも込めて講師に手を振って

参加者のみなさん

最後は感謝の気持ちも込めて講師に手を振って

参加者からは、

「遺伝子組み換えの情報だけでなく、パルシステムの方針や、生産者の取り組みについても聞けたのがとてもよかったです。」

「パルシステムの商品だから安心という理由で購入していた油や低温殺菌牛肉のこだわりが知れて良かった。これからも応援していきたいと思います。」

「専門家の方や直接携わっている方からお話を伺える機会は本当に貴重な時間だと思います。新たな知識や歴史を分かりやすく説明して頂ける機会をありがとうございました。」

…などの感想が寄せられました。

遺伝子組み換えの表示制度が変わることにより、Non-GMOにこだわってきた製造者も表示がしにくくなってしまいます。パルシステムはこれからも作り手の努力を伝え、応援できる取り組みを進めてまいります。

当日の様子は動画(2:19:13)でご紹介!

「遺伝子組み換えでない」表示がなくなる?!~Non-GMOに取り組む産地からの声~

ぜひご覧ください!

講師プロフィール

講師プロフィール

八田 純人(はった すみと)氏

農民、消費者などの募金で生まれた分析施設、一般社団法人 農民連食品分析センター所長。2000年中国産冷凍ほうれん草の残留農薬問題を発見し、食品衛生法改定のきっかけをつくった。他に漢方生薬中に残留する農薬問題、遺伝子組換えナタネの自生調査、竹製品に使用される漂白剤問題、ディスカウント米はなぜ安い、尿中のネオニコ系農薬調査など、農業と消費生活に密着した視点で体験型の情報を提供している。他に屋上養蜂、自転車発電&果物シロップのかき氷屋、味噌・豆腐づくり指南などの活動を展開。3児のパパ。