活動レポート

「遺伝子組み換えの菜種」が密かに育っている?! ~遺伝子組み換えナタネ自生調査報告(2023年)~

1. 「遺伝子組み換えナタネ自生調査」とは?

パルシステム東京も加盟している「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」では、毎年遺伝子組み換え(以下、GM)ナタネ自生調査に取り組んでいます。

※GM=Genetically Modified(遺伝子組み換え)の略称。

 

菜種油の原料として輸入されたGMナタネが、荷揚げ港から製油工場にトラックなどで輸送される間に幹線道路沿い等にこぼれ落ちて自生していることがあります。これまでの調査で全国各地に自生し、近縁植物との交雑も報告されています。

 

パルシステム東京では都内の幹線道路等での実態を把握すると共に、パルシステムを利用する組合員の皆さんにGM作物の野生化について知っていただく取り組みとして、2020年度から調査に参加しています。

(2020年度は5検体、2021年度は19検体、2022年度は46検体の調査を実施)

(※)遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンとは

遺伝子組み換え作物の作付け禁止や表示の徹底を求めて活動するキャンペーン会議。

遺伝子操作食品(遺伝子組み換え、ゲノム編集など)、GMOフリーゾーン運動(生産者などにGMOフリーを宣言してもらう運動)、遺伝子組み換えナタネ自生調査、グリホサート検査運動などの調査報告や意見交換を行なうほか、署名活動や学習会に取り組んでいます

2.パルシステム東京による取り組み内容

①組合員参加企画「おうちde検査体験! GMナタネ調査隊2023」の開催

4月15日、自宅周辺で採取したナタネを検査し、遺伝子組み換えかどうかを調べる企画をオンラインで開催。農民連食品分析センター所長の八田純人氏から「遺伝子組み換え食品」についてお話しをいただいた後、参加者全員でナタネの検査をしました。

左:実験の様子(手元カメラ)     中:講義をする八田純人氏    右:企画参加中の皆さんの様子

左:実験の様子(手元カメラ)     中:講義をする八田純人氏    右:企画参加中の皆さんの様子

②組合員自身による調査

調査にご協力いただける組合員を募集し、ご自身で調査を行い、報告書を提出いただきました。

 

③情報提供

パルシステム東京の食の安全に関する情報誌「食べものナビゲーター」でGMナタネ自生調査に関する情報発信を行いました。

 

3. 調査方法

GMナタネの検査は意外と簡単!採取・検査方法は、こちらの動画をご覧ください!

おうちde検査体験!GMナタネ調査隊2023 ~説明動画~

動画(7:07)

 

4.【検査結果】 結果は全て「陰性」でした

今回は15検体の調査を行い、結果は全て「陰性」でした(※バスタ耐性の検査は無反応が3検体あり)

調査したナタネの中に、遺伝子組み換えのものはありませんでした。

 

採取日

生育場所

ラウンドアップ耐性結果

バスタ耐性結果

3/15

東京都新宿区大久保

陰性

無反応

4/8

東京都武蔵野市吉祥寺

陰性

陰性

4/12

東京都府中市日進町

陰性

陰性

4/12

東京都府中市南町

陰性

無反応

4/12

東京都国立市谷保

陰性

陰性

4/12

東京都国立市泉

陰性

陰性

4/12

東京都府中市四ツ谷

陰性

陰性

4/13

東京都品川区東大井

陰性

陰性

4/14

東京都目黒区中町

陰性

陰性

4/14

神奈川県愛甲郡愛川町

陰性

無反応

4/15

東京都羽村市

陰性

陰性

4/16

東京都世田谷区桜丘

陰性

陰性

4/20

東京都世田谷区

陰性

陰性

4/21

埼玉県所沢市勝楽寺

陰性

陰性

4/25

東京都千代田区

陰性

陰性

 

【組合員が採取したナタネ】

東京都品川区東大井2丁目、道路脇に咲くナタネ

東京都品川区東大井2丁目、道路脇に咲くナタネ

東京都品川区東大井2丁目、道路脇に咲くナタネ

東京都羽村市、自宅の庭周辺に咲くナタネ

5.総評

今回の15検体の調査ではすべて「陰性」という結果になりました。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

パルシステム東京として4回目の遺伝子組み換えナタネ自生調査に取り組みましたが、調査継続を望む声を組合員からいただきました。今後も組合員の皆さまに遺伝子組み換え作物の野生化について知っていただく取り組みとして「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」と連携し、調査に参加していく予定です。

以下、調査活動にご協力いただいた委員会、組合員からの感想です。

 

「遺伝子組み換えについて勉強になりました。食物や環境についてさらに知りたい気持ちになりました。」

 

「検査が簡単に出来たことに驚いた。毎年、近くにナタネが多く育っているので、また検査したいです。」

 

「簡単な実験で子供も一緒に出来たので参加できて良かったです。」

 

「実験が楽しかった。小さなお子さんも参加していて小さい頃から感心が向くのもいいなと思いました。」

7月25日追記

7月22日(土) 2023年 全国遺伝子組み換えナタネ自生調査報告会が開催されました。

パルシステム東京も参加し、調査報告を行いました。

全国の調査結果は以下の通りです。

東京では陽性は発見されていませんが、全国では22件の陽性が報告されています。

 

2023年度 遺伝子組み換えナタネが見つかった道県

(2023年全国遺伝子組み換えナタネ自生調査報告会資料より) 

  検体数 RR(ラウンドアップ耐性) LL(バスタ耐性) 両耐性 陽性計 陽性率

北海道

36 2 0 0 2 6%
宮城県 21 1 0 0 1 5%
茨城県 12 1 0 0 1 8%
神奈川県 51 1 4 0 5 10%
静岡県 29 1 0 0 1 3%
山口県 15 2 0 0 2 13%
福岡県 55 8 0 0 8 15%
長崎県 5 0 2 0 2 40%
合計 723 16 6 0 22 3.0%

※合計の検体数と陽性率は、陽性が検出されなかった都道府県の検体数も含まれています。

※上記集約は遺伝子組み換え食品を考える中部の会を除く