活動レポート

「遺伝子組み換えの菜種」が密かに育っている?! ~遺伝子組み換えナタネ自生調査報告(2022年)~

1. 「遺伝子組み換えナタネ自生調査」とは?

パルシステム東京も加盟している「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(※)では、毎年遺伝子組み換えナタネ自生調査に取り組んでいます。

日本では現在栽培されていないはずの遺伝子組み換えナタネ(菜の花)ですが、菜種油の原料として輸入された遺伝子組み換えナタネが、荷揚げ港から製油工場にトラックなどで輸送される間に幹線道路沿い等にこぼれ落ちて自生していることがあります。これまでの調査で全国各地に自生し、近縁植物との交雑も報告されています。

パルシステム東京では都内の幹線道路等での実態を把握すると共に、パルシステムを利用する組合員の皆さんに遺伝子組み換え作物の野生化について知っていただく取り組みとして、2020年度から調査に参加しています。

(2020年度は5検体、2021年度は19検体の調査を実施)

(※)遺伝子組み換え作物の作付け禁止や表示の徹底を求めて活動するキャンペーン会議。

遺伝子操作食品(遺伝子組み換え、ゲノム編集など)、GMOフリーゾーン運動(生産者などにGMOフリーを宣言してもらう運動)、遺伝子組み換えナタネ自生調査、グリホサート検査運動などの調査報告や意見交換を行なうほか、署名活動や学習会に取り組んでいます。

2.2022年度の調査は?

今年度は委員会や組合員理事の調査、組合員参加企画、組合員からの自生しているナタネの情報提供で調査をしました。

調査方法は?

委員会での調査

パルシステム東京では、パルシステムを利用する組合員が集まってグループをつくり、地域で自主的に活動する委員会活動を行っています。この委員会に、身近な場所に遺伝子組み換えナタネが自生していないか調査の協力を呼びかけたところ、11の委員会が調査に参加し、幹線道路脇など不自然な場所に生えているナタネについて、採取・検査をしていただきました。

組合員参加企画

4月23日(土)、ご自宅の近くに生えているナタネ(菜の花)を検査し、遺伝子組み換え(以下GM)かどうかを調べる企画をオンラインで開催しました。(参加者11組)

農民連食品分析センター所長の八田純人氏から「遺伝子組み換え食品」についてお話しをいただいた後、ナタネの検査を体験しました。

詳細は以下のURLからご確認ください。

https://www.palsystem-tokyo.coop/report/81635/

情報提供

パルシステム東京の食の安全に関する情報誌「食べものナビゲーター」や「週刊WITH YOU」に自生調査協力のお願いを掲載し、組合員に広く呼びかけました。6件の検体を送付していただき、事務局にて検査を行いました。

3. あやしいナタネを見つけよう!ナタネの採取方法

【委員会・組合員が採取したナタネ】

中央区八重洲2丁目

中央区八重洲2丁目

中央区八重洲2丁目

江東区大島7丁目

4. 意外と簡単!ナタネの検査

ナタネを採取し、葉と水を入れた試験管に試験紙を入れるだけ

 

詳細は以下の動画をご確認ください。

GMナタネ説明動画

https://www.youtube.com/watch?v=uzWQ4vpXaS4

5. 【検査結果】 今回は全て「陰性」でした

委員会、理事から26検体の調査報告、組合員参加企画で14検体、組合員から6個の検体提供がありました。結果は全て「陰性」、つまり遺伝子組み換えのナタネでないという結果でした。詳細は以下の通りです。

 

【調査結果一覧】

採種日

生育場所

検査結果

ラウンドアップ耐性

バスタ耐性

2/27

足立区千住東

陰性

陰性

3/19

目黒区東が丘 

陰性

陰性

3/23

千代田区神田猿楽町

陰性

陰性

3/24

千代田区岩本町

陰性

陰性

3/27

練馬区谷原

陰性

陰性

3/28

江東区大島

陰性

陰性

4/1

東村山市恩多町

陰性

陰性

4/2

八王子市南大沢

陰性

陰性

4/2

小金井市関野町

陰性

陰性

4/3

茨城県古河市三国橋近辺

陰性

陰性

4/5

小平市小川東町

陰性

陰性

4/5

東村山市富士見

陰性

陰性

4/8

江東区門前仲町

陰性

陰性

4/11

江東区南砂

陰性

陰性

4/11

町田市旭町

陰性

陰性

4/16

世田谷区瀬田

陰性

陰性

4/16

世田谷区瀬田

陰性

陰性

4/16

世田谷区桜丘

陰性

陰性

4/16

江東区塩浜

陰性

陰性

4/16

江東区木場

陰性

陰性

4/16

江東区富岡

陰性

陰性

4/17

武蔵野市吉祥寺本町

陰性

陰性

4/17

足立区鹿浜

陰性

陰性

4/17

小平市栄町

陰性

陰性

4/19

東村山市本町

陰性

陰性

4/21

江戸川区西葛西

陰性

陰性

4/22

八王子市七国

陰性

陰性

4/22

清瀬市梅園

陰性

陰性

4/22

柏市旭町

陰性

陰性

4/23

世田谷区成城

陰性

陰性

4/26

世田谷区野毛

陰性

陰性

4/26

稲城市大丸是政橋付近

陰性

陰性

4/27

中央区八重洲

陰性

陰性

4/27

足立区梅島

陰性

陰性

5/5

世田谷区瀬田 

陰性

陰性

5/5

世田谷区瀬田 

陰性

陰性

5/5

八王子市みなみ野

陰性

陰性

5/5

八王子市みなみ野

陰性

陰性

5/5

八王子市寺田町 

陰性

陰性

5/5

町田市相原町

陰性

陰性

5/5

町田市相原町

陰性

陰性

5/7

八王子市中野上町

陰性

陰性

5/7

目黒区中町

陰性

陰性

5/17

小金井市本町

陰性

陰性

6/1

杉並区天沼

陰性

陰性

※1件、採取場所不明

6.総評

今回の46検体の調査ではすべて「陰性」という結果になりました。ご協力いただいた組合員、委員会、理事の皆さま、ありがとうございました。

今回、パルシステム東京として3回目の遺伝子組み換えナタネ自生調査に取り組みましたが、調査継続を望む声を組合員からいただきました。今後も組合員の皆さまに遺伝子組み換え作物の野生化について知っていただく取り組みとして「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」と連携し、調査に参加していく予定です。

 

以下、調査活動にご協力いただいた委員会、組合員からの感想です。

 

「このような調査がもっと広まるとよいと思う。」

 

「なんとか探し出したものが「遺伝子組み換えで無かった」ということは良かった。」

 

「今回は陰性でよかったけれど、陽性の種が混じることもあるかもしれないと実感しました。調査に参加できてよかったと思いました。」

 

「めげずに調査を続けたいですね。」

7月16日追記

7月16日(土) 2022年 全国遺伝子組み換えナタネ自生調査報告会が開催されました。

パルシステム東京も参加し、調査報告を行いました。

全国の調査結果は以下の通りです。

東京では陽性は発見されていませんが、全国では36件の陽性が報告されています。

 

2022年度 遺伝子組み換えナタネが見つかった道県

(2022年全国遺伝子組み換えナタネ自生調査報告会資料より) 

  検体数 RR(ラウンドアップ耐性) LL(バスタ耐性) 両耐性 陽性計 陽性率

北海道

35 0 2 0 2 6%
宮城県 34 0 1 0 1 3%
茨城県 24 1 3 0 4 17%
神奈川県 69 0 1 0 1 1%
静岡県 49 0 1 0 1 2%
愛知県 33 0 1 0 1 3%
兵庫県 32 1 2 0 3 9%
岡山県 9 1 0 0 1 11%
福岡県 60 7 13 0 20 33%
熊本県 90 2 0 0 2 2%
合計 934 12 24 0 36 3.9%

※合計の検体数と陽性率は調査全体の数

※上記集約は遺伝子組み換え食品を考える中部の会を除く