活動レポート

ピースフェス2016 ~平和への願い、日本から世界へ~

パルシステム東京では、生活協同組合として「平和」を学び考える機会を設けるため、終戦前後の8~10月を「平和月間」とし、その一環として、2016年8月27日(土)に「ピースフェス2016~平和への願い、日本から世界へ~」を開催しました。

第1部74人、第2部74人が参加しました。

第1部:未来へつなぐ戦争の記憶

「猫は生きている」を演じる福井淑恵氏

「猫は生きている」を演じる福井淑恵氏

「猫は生きている」を演じる福井淑恵氏

脚本家・大久保昌一良氏の奥様

◆ 一人芝居「猫は生きている」(演劇ユニット猫座)

前半は、演劇ユニット猫座による「猫は生きている」の公演。

この作品は、1973年に発刊された作・早乙女勝元、絵・田島征三の絵本「猫は生きている」を元にした一人音楽劇で、東京下町に住む昌男君の家族と、この家の縁の下に住む野良猫一家が東京大空襲の最中、焼夷弾によって、火の海になった街中を逃げ惑う物語です。

演じるのは、俳優の福井淑恵氏。体全部を使い、一人9役を表情豊かに演じられました。戦争の悲惨さ、平和の尊さを歌い上げる俳優・福井氏の演技に、涙を見せる参加者の姿も見られました。

公演後、脚本家・大久保昌一良氏の奥様から、「陸上自衛隊の駐屯地が近くにあるため、夏祭りには自衛隊員も参加してくれています。この駐屯地から南スーダンに派遣される話と聞き、戦争がぐっと近くに感じられました。今日は、たくさんの方にお芝居のことや戦争の悲惨さと平和の尊さを周りの人に語って下さい」「子どもたちを守るのは、大人の責任です」と参加者へ呼びかけました。

 

 

 

 

 

 

平和スタディツアー~ヒロシマ・ナガサキ・オキナワに参加して~

ヒロシマ平和スタディツアー「原爆の子の像」

ヒロシマ平和スタディツアー「原爆の子の像」

ヒロシマ平和スタディツアー「原爆の子の像」

ナガサキ平和スタディツアー「平和祈念像」

平和スタディツアー参加者から、実際に赴き心に刻まれたことを伝える

平和スタディツアー参加者から、実際に赴き心に刻まれたことを伝える

平和スタディツアー参加者から、実際に赴き心に刻まれたことを伝える

ノンフィクションライターの関千枝子先生(広島で被爆)

パルシステム東京では、毎年、広島・長崎、地上戦により多くの命が失われた沖縄を訪れる平和スタディツアーを実施しています。

第1部の後半は、このスタディツアーに参加された組合員の報告会を行い、報告を通して、戦争の記憶を引き継ぐこと、また平和を願い行動することの大切さを共有しました。

 

▽ヒロシマ・ナガサキ

被爆地の目を覆いたくなる悲惨な光景を目の当たりにした/平和はただ願うものではなく、なにかしらのアクションを起こさなければいけない/戦争の恐ろしさを同年代の人に伝えていくことが、平和な世界への第一歩(お子さん)

▽オキナワ

観光とは違う沖縄の現実を見た。沖縄の問題を自分たちの問題として考えて欲しいと思う

(参加報告書より一部抜粋)

 

また、ヒロシマ・ナガサキ平和スタディツアーの事前学習会で講師を務めた関千枝子先生(ノンフィクションライター・ヒロシマ被爆者)が来賓として参加され、「国連による核兵器禁止条約が最終のゴールであり、それに向かって行動を続けていましょう」と強い思いを訴えました。

 

 

 

ランチタイム:『世界とともだちに』国際協力NGOによるフェアトレードの雑貨や食材、チャリティーグッズなどを販売する「ワールドバザール」を開催

昼食は「中東料理ランチBOX」をご用意(希望者のみ)。わいわい話もはずみます!

昼食は「中東料理ランチBOX」をご用意(希望者のみ)。わいわい話もはずみます!

昼食は「中東料理ランチBOX」をご用意(希望者のみ)。わいわい話もはずみます!

カプサ風チキンピラフ、羊肉ハンバーグ、ひよこ豆ディップなど珍しい中東料理。子ども達もおそるおそる

ワールドバザール

▲シャンティ国際ボランティア会  ラオスやミャンマーなど東南アジアの布雑貨などを販売。色鮮やかなポーチやバックに目が奪われます。

▲シャンティ国際ボランティア会 ラオスやミャンマーなど東南アジアの布雑貨などを販売。色鮮やかなポーチやバックに目が奪われます。

▲シャンティ国際ボランティア会  ラオスやミャンマーなど東南アジアの布雑貨などを販売。色鮮やかなポーチやバックに目が奪われます。

▲APLA/あぷら 東ティモールコーヒーなどパルシステムでもお馴染みのフェアトレード商品を販売。冷たいアイスコーヒーが人気でした!

▲パレスチナ子どものキャンペーン  パレスチナ・ガザ地区などで作られた雑貨類を販売。支援するろう学校の職業訓練生作られた布製品も。

▲パレスチナ子どものキャンペーン パレスチナ・ガザ地区などで作られた雑貨類を販売。支援するろう学校の職業訓練生作られた布製品も。

▲パレスチナ子どものキャンペーン  パレスチナ・ガザ地区などで作られた雑貨類を販売。支援するろう学校の職業訓練生作られた布製品も。

▲日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET) 劣化ウラン弾の影響により小児がんとなったイラクの子ども達が描いた花の絵の絵はがきやタオルなどを販売。

▲AAR Japan[難民を助ける会]  絵本「地雷ではなく花をください」に登場するサニーちゃんのチャリティーグッズを販売。最新刊「サニーちゃんシリアに行く」も紹介されました。

▲AAR Japan[難民を助ける会] 絵本「地雷ではなく花をください」に登場するサニーちゃんのチャリティーグッズを販売。最新刊「サニーちゃんシリアに行く」も紹介されました。

▲AAR Japan[難民を助ける会]  絵本「地雷ではなく花をください」に登場するサニーちゃんのチャリティーグッズを販売。最新刊「サニーちゃんシリアに行く」も紹介されました。

▲シャプラニール=市民による海外協力の会 パルシステムのフェアトレードショップでも人気が高いバングラディシュとネパールの雑貨類を販売。センスの良いポーチやサンダルに参加者も興味津々。

写真・パネル展示

▲平和活動に取り組む組合員グループの展示  六ヶ所から地球を考える委員会、レッツゴー!ピース委員会、南部平和委員会が出展。

▲平和活動に取り組む組合員グループの展示 六ヶ所から地球を考える委員会、レッツゴー!ピース委員会、南部平和委員会が出展。

▲平和活動に取り組む組合員グループの展示  六ヶ所から地球を考える委員会、レッツゴー!ピース委員会、南部平和委員会が出展。

▲世界ヒバクシャ展による写真展示 被ばく者の姿を通して核の真実を伝える写真展を同時開催。

第2部:考えよう、「いま」世界で起きていること

◆ トークセッション「中東の紛争・難民問題から平和を考える」

第2部は、日本から世界に目を向け、世界で起こる現在の紛争や難民問題等のお話を、現地で活動されている国際協力NGOの方々から伺いました。

登壇は、パルシステム東京・平和カンパの贈呈先団体でもある、日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)事務局長・佐藤真紀氏、パレスチナ子どものキャンペーン海外事業チーフ・中村哲也氏、AAR Japan[難民を助ける会]プログラムコーディネーター(シリア難民支援統括)・景平義文氏。

今この時も世界には紛争によって厳しい状況にある人々がたくさんいること、そしてそれは私たちにも無関係ではないことを共有することができました。

◇ 中東地域の現状と活動

はじめに、中東での問題を知るため下地となる中東の現状・歴史的背景について、佐藤氏にご説明いただいた後、各活動支援地域の現状や支援活動について、それぞれお話しをいただきました。そこからは、中東で起こる紛争の複雑さとその中で生きる人々の苦しい現実が浮き彫りになりました。

【難民・紛争下の暮らしぶり】

パレスチナ子どものキャンペーン海外事業チーフ 中村哲也氏

【難民・紛争下の暮らしぶり】

トークセッションの中で、難民となってレバノンに避難した母親達のドキュメンタリー映像が紹介されました。夫との死別や別離で深刻な問題を一人で背負う母親の多くはうつの可能性があり、パレスチナ子どものキャンペーンが実施した調査では、97人の母親のうち、77人がうつ症状であるといいます。

「安定した生活を取り戻すことが心のケアには第一であるが、その安定はここにはない。それでもやらないわけにはいかないのでやっているが、心のケアの効果が出やすい環境にはなっていないのが現状」と中村氏。

 

【難民・紛争下の暮らしぶり】

AARJapan[難民を助ける会]プログラムコーディネーター(シリア難民支援統括)・景平義文氏

【難民・紛争下の暮らしぶり】

今後の支援に必要なこととして、景平氏は、「支援をはじめて4年がたつが、このままの状態が長く続くだろうと感じている。今までは目の前にいる困った人を支援しよう、という想いでやってきたが、それだけでは立ち居かなくなる。戦争が終わり復興期に入った時に、復興支援を担えるシリア人の人材育成を今からやっていかないといけない」と語りました。

中村氏も「全くそのとおり」と口をそろえ、「今は先行きが見えない難民問題も時代がたてば変わっていくもの。私たちはその時に生きていないかもしれないが、現地の人自身が支援に関わっていけるよう、考えていかなければいけない。難民の過半数が子どもである中、彼らがやりがいをもって生きていけるよう、今の状況は絶望的でも、将来の希望をイメージして支援をしていきたい」と話しました。

【私達にできること・日本への影響】

日本イラク医療支援ネットワーク(JIM=NET) 事務局長 佐藤真紀氏

【私達にできること・日本への影響】

日本がどう関わっていくか?とのテーマには、中東の問題だと責任を放棄するものではないと、3人とも同じ意見。

佐藤氏は「武器の輸出など、戦争は大きなマーケット。今まで日本はお客さんのためを想って良いものを作り、それが評価されてきた。一方で、戦争は大きなマーケット。日本でも安保法制が成立し、武器の輸出が解禁となったが、戦争をしないとやっていけない国になっていくのではないか」と警鐘を鳴らしました。「テロとの戦いは一体だれとの闘いなのか。イスラム教徒やアラブ人がテロリストなのか。そうではなく、その人々と人間として関わり、救うことに関わっていきたい」と訴えました。

最後に、中東の紛争、シリア難民問題は「遠い国の問題と思いがちだが、難民として避難するお母さん達も平和を望む生活者としての視点は私達と変わらない。増え続ける難民に対し、私達は大海に一滴を投じている思い。それでも無意味ではなく、確実に生活者に支援が届き、何かが変わっているという実感を持っているということを折りに触れて知ってほしい」と中村氏。

景平氏も「国や国連も支援を続けているが、それらの支援は必ずしも現実の状況に合っていない。NGOがやっていることは小さく見えるかもしれないが、国や国連の支援と現実のすきまを埋めることができるNGOの活動は重要」と語りました。

日本の戦争の記憶を引き継ぎ、世界の今の紛争を考えた2016年度の「ピースフェス2016」。

 

 

◆参加者からは…

・猫は生きている、本当に胸にせまりました。

スタディツアー参加者の生の声を聞くことができて良かった。『平和は願うだけでも祈るだけでも守れない』との報告を聞き、改めて心にきざみました。

自分がいかに難民や戦争を「自分ごと」していなかったということを痛感しました。自分にできることを探して行動していきたい。

ランチBOX、ワールドバザールは舌で感じ、手にとって触れて世界を身近に感じることができました。

 …などの感想が寄せられました。

 パルシステム東京は、平和政策にもとづき、さまざまな形式で、平和な未来のために必要なことを学ぶ場を作り出しています。学んだことをもとに、一人ひとりが考え、自ら行動することが、私たちのめざす社会に向けての第一歩と考えて、今後もピースフェスをはじめとした平和の取組を継続していきます。