活動レポート

「身近なプラスチック汚染」~家庭・市街地から河川、海へ~ #未来へつなげ2030

2021.12.9

パルシステム東京は2021年10月16日(土)、「『身近なプラスチック汚染』~家庭・市街地から河川、海へ~ #未来へつなげ2030」を開催しました。

土曜日午前中の企画に46組が参加しました。

 

世界的な問題となっているプラスチック汚染

プラスチックは安価で便利であることから、世界中で大量に使用されてきました。

しかし近年、海洋汚染の原因のひとつとなるプラスチックごみが世界中で問題となっています。現在年間800万トンのプラスチックごみが海に放出され、このままでは2050年に海の魚の重量よりもプラスチックごみの重量の方が多くなってしまうといわれています。

 

市街地で発生したプラスチックごみは紫外線や川の流れ、衝撃により劣化し砕け、細かなプラスチックとなります。直径5ミリメートル以下のプラスチックを「マイクロプラスチック」と呼び、水中に流れ出た場合、すべて回収することは不可能です。

 

海に漂流するプラスチックが水中の汚染物質を吸着し、化学物質を運ぶことも問題になっています。

 

世界の共通のビジョンとして、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」があり、世界でも多くの国が使い捨てプラスチック削減に取り組んでいます。かねてから日本でも様々な取り組みが行われていますが、2020年7月からはレジ袋の有料化が始まりました。

 

 

今回のオンライン学習会は、東京理科大学理工学部土木工学科 二瓶 泰雄教授をお迎えして、私たちにより身近な河川のプラスチック汚染についてお話を伺い、汚染を食い止め環境を守るために、私たちができることについて考える機会となりました。

 

プラスチック汚染は陸地~河川から始まっている(二瓶 泰雄教授講演会より一部抜粋)

東京理科大学理工学部土木工学科  二瓶 泰雄教授

日本初の河川のプラスチック調査

東京都を流れる荒川の河口が、プラスチックごみで埋め尽くされた写真で学習会は始まりました。

 

今までは海洋に漂うマイクロプラスチックが問題とされていました。しかし、二瓶教授の研究室による日本初の河川の調査から、日本の多くの河川にマイクロプラスチックが存在しており、マイクロプラスチック汚染は海だけではないということがわかっています。

 

 

 

無意識のうちにプラスチックを流出させていることも

二瓶教授の研究室による調査により、無造作に捨てられたごみ、カラスに荒らされたごみ置き場のポリ袋、割れたポリバケツや工事現場にあるコーンなどが劣化して、プラスチック破片となったものが陸地でたくさん見つかっています。

ポイ捨てごみだけではなく、不用意な扱いによりプラスチックごみになったものも、雨などで排水溝などに流れこむことで、河川汚染の原因になります。

 

生活排水の調査ではマイクロビーズや合成繊維が多く見つかっています。これは、歯みがき粉や化粧品に含まれている粒子や、合成繊維の衣服を洗濯することで発生する繊維くずで、私たちが無意識のうちにマイクロプラスチックを流出しているものと推定されます。

 

最近の調査では水道水からも処理しきれなかったマイクロプラスチックが発見されています。

 

「河川のマイクロプラスチック汚染は、もう他人ごとではなく、自分ごととしてとらえる必要があります。」と二瓶教授は私たちに投げかけ、講演は終了しました。

 

 

 

参加者のアンケートから

「生活の中で、どれくらいプラスチックを使用しているか」

「もしプラスチックの使用を減らすなら、どんなことができるか」

 

学習会の終わりに、二瓶教授から参加者に2つのアンケートの回答を求められ、その場で参加者が回答しました。

 

「使い捨てのプラスチック製品は受け取らない」

「エコバッグを持参する」

「マイボトルを持ち歩く」

 

など、参加者が積極的に使い捨てプラスチックの削減に取り組んでいることがわかるアンケートとなりました。

 

 

 

パルシステム東京は「有害化学物質削減の取り組み」として2013年からマイクロプラスチックの海洋汚染に関する学習会を行い、また使い捨てプラスチックごみの削減にも取り組んでおり、今後も環境保全に関する取り組みを続けていきます。

 


一人ひとりが環境を守る担い手になる。~パルシステムの3R活動~ 生協の宅配パルシステム