活動レポート

シンポジウム 私たちは忘れない!3.11東日本大震災その時~今~そして未来に

2014.3.1

東日本大震災から3年。被災地の現状は今なお厳しい状態が続いています。

2014年3月1日(土)、震災から3年を前に、組合員とともに被災地・被災者の現状を共有し、私たちにできることを一緒に考えることを目的に、シンポジウム「私たちは忘れない!3.11東日本第震災 その時~今~そして未来に」を開催し、60名が参加しました。

2013年度のシンポジウムは「福島」に焦点をしぼり、被災地からの報告と、組合員との昼食交流、映画「福島   六ヶ所   未来への伝言」の上映を行いました。また、福島から新宿区百人町に避難をされている「青空会」の方を招待し、交流・情報交換も行われました。

■被災地からの報告

パルシステム福島 和田佳代子理事長

福島県浪江町にある、パルシステム福島相双センターは、放射線量が年間20mSv~50mSvの居住制限区域(2013年3月までは警戒区域)内にあり、今なお、ライフライン被害も不明、事業再開の見通しが立たない状態です。

震災後、支援物資の配布や避難所での炊き出し、小中学校への給食支援などを行ってきたパルシステム福島は今、地域の信頼に応えるべく、「災害に強く、災害時に役立つセンター機能の強化」を掲げています。配送センターに太陽光発電ならびに蓄電機能を導入し、省エネ型センターへの転換を図るほか、2014年2月に新設された郡山センターでは井戸を掘削して断水対策を図るなど、災害時に支援活動の拠点として活用できるよう事業を展開しています。

さらには、福島の現状をより多くの人に見に来てほしいと、地域のNPOとも連携し、福島復興スタディツアーを企画・開催しています。パルシステム東京でも2013年10月・11月にスタディツアーを2度、開催しました。

震災および原発事故によって「フクシマ」として世界に知られるようになった福島県。「フクシマ」を忘れることなく、「フクシマ」を「福島」に戻すためにも、まずは観光やスタディツアーなどで足を運んでほしいと呼びかけられました。

 

あいづグリーンネットワーク  舟窪  満氏

2011年は、3月11日東日本大震災と、その翌日原発事故のほかに、7月29日からの3日間で大豪雨災害が起こり、鉄橋が流されるなど何本もの川が氾濫し、会津地方でも死者も出たほか、多くの圃場で壊滅的被害を受け、非常に災害多き一年でした。

3.11後、多くの方が浜通りから会津へ避難できたものの、お店に売っているものが何もなくなってしまい、パルシステムの青果部門の子会社であるジーピーエスに「バナナありませんか」と問合せたことが、舟窪さんの復興支援活動の始まりだった、と当時を振り返りました。

その後は、やはり「放射能との戦い」。出荷制限が解除された後も、「本当に食べてもらえるのか」といった不安があり、「本当に安心して食べてもらうためには、自分たちが安全性をきちんと確認するよりほかない」と放射能検査の重要性を痛感。多くの生産者が検査をしたくてもできない状況で、パルシステムの検査体制は心強かったといいます。除染活動などの努力の甲斐もあり、あいづグリーンネットワークの生産物はALL「ND(not detected)」=検出限界値以下を継続しています。

「食べて応援」だけでなく、「産地へ行こう」ツアーで実際に会津に訪問してくれることにも大変感謝しています。

 

NPO法人ザ・ピープル  吉田  恵美子理事長

NPO法人ザ・ピープルでは古着リサイクルを中心に障がい者福祉・海外支援・社会教育などの活動を行っていました。常に古着のストックを持っていることから、行政を通じて地域内の火災・罹災家族への古着の提供を行うことがあり、「私たちは、いざというときに災害救援活動ができる」とのメンバーの気付きが、3.11東日本大震災の後の活動にもつながっていきました。

御用聞きスタイルでの救援物資配布、自炊による炊き出しなどで避難所支援を実施した後、復興支援のフェーズに入ってからも小名浜地区交流サロンの開催を続けています。

今、福島が抱える最大の問題は、被災者間の中にある心理的断絶、と訴える吉田さん。いわき市内には応急仮設住宅が17箇所に3,512戸がありますが、どこから避難してきたのか、被災状況や今後の見通しなどはそれぞれ異なります。また、多くのいわき市民が市外・県外へ避難されたり、市内の賃貸住宅等への避難をしているため、支援の手が行き届きにくい支援格差も発生しています。

現在、吉田さんは「いわきおてんとSUNプロジェクト」の3つのNPOによるプロジェクトを通じて、住民主体の復興まちづくりを進めています。栽培の難しい在来種の茶綿を有機栽培して新たな産業を創出する「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」、市民が主役となって自然エネルギーの活用を進める「市民コミュニティ電力プロジェクト」、いわきならではの学びのツアーを企画する「被災地スタディツアープロジェクト」。地域コミュニティの再生を願うこれらの取り組みへを通じて、より多くの人がプロジェクトに加わり、色んな気付きを得て、それぞれの地域に持ち帰って活動してほしい、と訴えました。

参加者からの質疑応答では、放射能対策や脱原発運動、2月の雪害などに関連した活発な質問が寄せられました。

◆映画「福島  六ヶ所  未来への伝言」

昼食交流をはさんで午後は、福島と青森県六ヶ所村の映画上映。

原子力施設を抱える地域で暮らす人々の生活と苦悩を通し、放射能という「負の遺産」を増やし続けることの責任を問うドキュメンタリー映画です。

午後は46名の参加がありました。あらためて未来にいのちのバトンを渡すために、私たちにできることは何か、選択すべきことは何か、を考える機会となりました。