活動レポート

【第1回連続平和学習会】 元自衛隊レンジャー隊員と国際協力NGO代表が語る「紛争地から見た日本の平和」 

生活協同組合パルシステム東京は2016年6月23日(木)、連続平和学習会の第1回として「紛争地から見た日本の平和」をパルシステム東京新宿本部にて開催しました。組合員・役職員79名が参加し、安保法制によってもたらされた課題や、日本や海外を取り巻く戦争のリアリティについて理解を深めました。

「安保法制の施行によって自衛隊と私達が直面する課題」

「安保法制の施行によって自衛隊と私達が直面する課題」

講師:  井筒 高雄 氏(元自衛隊レンジャー隊員)

【プロフィール】
1988 年、自衛隊に入隊。「1人が10 人分の力を発揮する」と言われるレンジャー隊員となる。定年退職まで在任できる3 等陸曹に昇進するも、1992 年、自衛隊の海外派兵を容認するPKO法が成立。1993 年、武器をもって海外で任務遂行することは「契約違反」と依願退職。各地の集会や講演会にて「若者に戦争をさせない」発言を展開中。

著作に、『安保法制の落とし穴』(ビジネス社/2015)、『自衛隊はみんなを愛してる!』(青志社/2015)

「積極的平和主義は紛争地に何をもたらすか」

「積極的平和主義は紛争地に何をもたらすか」

講師:  谷山 博史 氏(日本国際ボランティアセンター代表)

【プロフィール】
東京都出身。86 年に国際協力NGO日本国際ボランティアセンター(JVC)に参加し、カオイダン難民キャンプで技術学校を担当する。その後タイ、ラオス、カンボジアでの駐在を経て94 年からJVC 東京事務所にて事務局長となる。その後02 年から再び現地駐在、JVC アフガニスタン現地代表となる。この間、地域の国際協力推進会議(CDI-Japan)、NGO 非戦ネットなどのネットワーキングに関わる。06 年帰国し、代表理事。

著作に、『NGO の選択』(めこん・共著/2005)、『NGO の時代』(めこん・共著/2000)、『「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか?!-NGO からの警鐘-』(合同出版・編著/2015)等

パルシステム東京 野々山理恵子理事長

開会の挨拶に立ったパルシステム東京 野々山理恵子理事長は、「学習会を通じて仲間とともに学んでいきたい」と連続平和学習会開催の抱負を述べました。

 

 

 

安保法制で自衛隊が直面する事態とは

▲南スーダンPKOと武器輸出の関係について、「国際協力」の名のもとに日本産の 武器を海外に輸出するための実績作りがされる可能性があることに懸念を示す井筒氏。

▲南スーダンPKOと武器輸出の関係について、「国際協力」の名のもとに日本産の 武器を海外に輸出するための実績作りがされる可能性があることに懸念を示す井筒氏。

元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄氏は、「安保法制の施行で隊員のリスクは格段に上がった。たとえば自衛隊が担う多国籍軍の後方支援(補給)は、戦闘時、最も攻撃対象になる」と話します。

「しかし、専守防衛の自衛隊は、これまで本格的な戦闘訓練をしていない。一般隊員は実戦経験がなく、その覚悟も確認されていない。現在、PKO 派遣されている南スーダンでは、駆けつけ警護などで自衛隊員の血が流される可能性が高いし、輸出のために日本製武器の実戦テストの場にされる恐れもある」と井筒氏。さらに、海外派兵のコストで防衛予算は増額され、そのしわ寄せは社会保障費などのカットにつながると指摘します。

武力に頼らない「積極的平和貢献」を

▲安保法制によってどのような事態でも戦争に参加できるようになってしまうことや、 「対テロ戦争」には終わりがないことなどをわかりやすく解説する谷山氏。

▲安保法制によってどのような事態でも戦争に参加できるようになってしまうことや、 「対テロ戦争」には終わりがないことなどをわかりやすく解説する谷山氏。

NGO日本国際ボランティアセンターの谷山博史代表理事は、紛争地での豊富な支援活動の経験から、非軍事に徹した日本の国際平和協力は、現地で他国にない「信頼」を得てきたと強調。「この信頼関係こそが、戦後、70年かけて培ってきた日本の大事な資産。真の意味で積極的な国際平和貢献に活用すべき」と話します。

続く対談では、両氏とも、日本国民がこれまで平和憲法が果たしてきた役割と価値を再確認し、守っていく重要性を訴えました。

▲対談では戦場のリアルを知るお二人ならではの視点で、議論が白熱しました。 非軍事的な国際平和への貢献の方法として、市民一人ひとりにできることも模索しました。

▲対談では戦場のリアルを知るお二人ならではの視点で、議論が白熱しました。 非軍事的な国際平和への貢献の方法として、市民一人ひとりにできることも模索しました。

▲対談では戦場のリアルを知るお二人ならではの視点で、議論が白熱しました。 非軍事的な国際平和への貢献の方法として、市民一人ひとりにできることも模索しました。

▲関連書籍販売も行いました。まず、今まさに世界で起こっていることを知ることが第一歩。 井筒氏は、関連書籍を身近な図書館に置いてもらえるよう働きかけることも 有効と参加者に呼びかけました。