活動レポート

映画『甘いバナナの苦い現実』上映会 ―あなたの選んだバナナはだれを幸せにするのか?―

2020.3.11

 

 2月24日、パルシステム東京は「映画『甘いバナナの苦い現実』上映会」を開催しました。私たちが普段目にすることのない「バナナ」の生産現場の現状を知り、バナナやエビ、コーヒーなどの食べ物の交易を行う(株)ATJ(オルター・トレード・ジャパン)とパルシステムの取り組みを学び、私たちにできることについて考えました。(参加者は65人)

 

 パルシステム東京の松野理事長は開会あいさつの中で「映画の中でも触れられている通り、1989年に砂糖きびの価格が暴落した際、フィリピン・ネグロス島の人たちの生活が困窮し、子どもたちが餓死するということがあり、パルシステムとのバナナの取引が始まったのです。生協のお母さんたちの『こういうときこそ力を合わせる。みんなで助け合う』という思いが形になり、現在に至っています」と話しました。

 

パルシステム東京 松野理事長

パルシステム東京 松野理事長

私たちが知らないバナナの苦い生産現場

 

 世界中で最も食べられている果物「バナナ」。しかし、生産現場のことは一般にはあまり知られていません。

 

 この日上映したドキュメンタリー映画『甘いバナナの苦い現実』では、日本のバナナの主要な輸入先であるフィリピンのミンダナオ島で、大規模バナナ畑の農薬空中散布や、不公平な契約に苦しむバナナ生産者や地域住民、支援団体が立ち上がり、世界的な大企業や政府を相手に、人間らしい当たり前の生活を取り戻すための活動が描かれ、映画の後半には、生協の産直バナナの取り組みにも触れられ、パルシステムでは無農薬栽培で、かつ民衆交易(フェアトレード)のバナナを扱っていることなども紹介されました。

「日本に安全、安心なバナナを届けたい」という思いから取引が始まったわけではないんです」―ミニ講演「フィリピンバナナと私たち」より―

講師の(株)ATJ 小林さん

講師の(株)ATJ 小林さん

上映後、(株)ATJの小林さんから「フィリピンバナナと私たち」というテーマで、次のような講演がありました。

  • バランゴンバナナの取引は、日本に安全、安心なバナナを届けたいという思いだけから始まったのではなく、貧困状態となっていたフィリピン・ネグロス島の人々が、自分たちで農産物を生産する力をつけ、それを公正な貿易活動で支えることを目的として始まった民衆交易バナナである。

  • バランゴンバナナはもともと山の中で自生しており、無農薬。地域の人にあまり食べられていない種類だということも選ばれた理由のひとつである。

  • 地域の環境やネグロス島住民の暮らしの支援、自立に貢献し、環境を守るこの取り組みを、生産者も共感し協力して取り組んでいるということが一番大切である。

左)大規模農園で働く農民の多くが病気を抱えているという報告 右)バランゴンバナナの生産者 (ATJホームページより)

左)大規模農園で働く農民の多くが病気を抱えているという報告 右)バランゴンバナナの生産者 (ATJホームページより)

 「映画で触れていたように、大規模農園の農民や近隣住民たちは農薬の怖さを知らないまま被害にあっています。企業はきちんと予告して農薬散布をしていると言っていますが、セスナ機がわずか数秒で近づいてきて上から農薬が降ってくる今の状況では、決して逃げられるものではありません。」と小林さん。

 誰かを誰かを犠牲にしてできたバナナを積極的に食べたいと思う人はいないでしょう。しかし、バナナを選ぶ基準は価格ぐらいしか見ない方も多いのではないでしょうか。

「誰がどこでどんな作り方をしているかは消費者にはわからない。そのため、(株)ATJは企業に情報開示をするよう求めています。」

 

 小林さんは講演の締めくくりで「私たちにできることは、まず現状を知ること。そして農民の生活の役に立ち、持続的な農業で生産したものを消費すること。みんなが幸せになれるバナナを選ぶことです」と呼びかけました。

【関連動画】

あなたはどの「バナナ」を選びますか?

 

子ども向け「パルシステムの『エシカル』ってなに?」
パルシステムのバナナで みんな、笑顔!

 

日本に入るすべてのバナナをエシカルに「エシカルバナナキャンペーン」 (パルシステム生活協同組合連合会賛同)