活動レポート
ともにつくろう!笑顔ひろげる身近な地域 |福祉と地域とのかかわりを一緒に考えました。
2020.2.24
1月30日、「パルシステム東京が考える地域コミュニティと福祉のあり方を学びあおう」と題して、パルシステム東京福祉分野の4委員会が連携して主催する学習会が東京都生協連会館にて開催され、委員や総代を中心に18名(理事3名を含む)が参加しました。
これまでの取り組みと課題、地域福祉政策(案)について西村陽子常任理事から、また、生協が果たすべき福祉事業における役割のあり方について佐藤健二常務理事からそれぞれ講演があり、後半は参加者同士のグループトークを通じて意見交換や質疑応答も行われました。
「福祉と地域との関わり 現状とこれからの課題 ~パルシステムの取り組みから考える~」
組合員活動や地域との関わりや連携をすすめる人小委員会の委員長を務めるのが、組合員理事の西村常任理事。今年度は福祉政策と地域コミュニティ政策を統合した新政策の論議を組合員と一緒にすすめ、理事会として地域福祉政策(案)をまとめています。
すでにパルシステム東京が実施している地域福祉の取り組みとして①見守り安心サービス、②子ども食堂への調味料提供、③余剰青果提供のしくみ、④行政と連携した居場所づくり、⑤組合員活動などを紹介し、「生協の人や施設などの地域資源をもっと活用できるはず。今後は、食と福祉を中心に、学び合いながら、組合員自らが主体的に関われる仕組みを作り、地域の輪を広げていきたい」と新政策策定に込める想いを語りました。
余剰青果提供の仕組みとは?
昨今大きな社会的問題となっている「貧困」問題に着目し、パルシステムの宅配事業でやむをえず一定量発生するセット残青果(*)を、必要としているところにお届けし有効活用していただく仕組みに取り組みはじめています。
*発生率を抑える努力をしているものの、毎週4~5トンの範囲で発生。
2019年3月より試験運用を開始し、現在9会員生協の計14センターで運用中(2019年12月時点)。パルシステム東京では、多摩、板橋、八王子、昭島、青梅の5センターで社会福祉協議会やフードバンク、地域ネットワークを通じ、支援が必要な子ども食堂や児童福祉施設、自立支援施設、個別家庭などに提供しています。
売れ残りや見切り品とは違い、鮮度が良いのが特長。とくに果物は貴重で、とある送り先団体からは「柿を初めて食べた」と子どもに喜ばれたエピソードも寄せられ、喜ばれています。
「生協の果たす役割 現状報告と背景 生協としてめざすもの」
パルシステム東京の高齢者介護事業は1998年、品川区の委託事業として開設したデイサービス八潮陽だまりに端を発し、現在は東京都認証保育所(ぱる★キッズ)との複合型拠点2か所を含む都内13か所に広がり、事業高も11億円に到達しています(2018年度末時点)。
講演の初めには、足立福祉棟での「共生ケア」の取り組みを紹介する動画を見て、福祉事業の全容について理解を深めました。
2019年度、1万人近い回答を集めた組合員アンケートで、「パルシステム東京が取り組んでいる福祉事業に期待したいものは何ですか」の設問に対し、「高齢者介護事業に積極的に取り組んでほしい」と回答された方は50%を超えています。
佐藤常務は「これから介護問題のピークを迎える中、パルシステム東京も生協としての総合力を発揮し、組合員の生涯を通じたお役立ちをすることが期待されている。介護保険法の影響を受ける介護事業(陽だまり)の事業再編や、介護予防や健康増進などの「高齢者対応事業」などに力を入れていきたい」と展望を語りました。
グループトークで意見交換 ~地域や福祉とのかかわりを考える~
休憩後のグループトークでは、参加者がテーブルごとにわかったこと、疑問点、生協の福祉に期待することなどを出し合いました。発表では「地域で色々な事業と活動を展開していることがわかってよかった」「医療生協との連携をもっと活発にしたい」「健康寿命を延ばすためのフレイル予防サポーター講習を受けた組合員が活躍できる場があるとよい」「組合員のボランタリー精神を活かしたい」「ぱる★キッズと陽だまりの(幼老)共生ケアの取り組みに共感。介護分野でもさらに生協らしさを出してほしい」といった声が挙がりました。
また、福祉に限らず人員確保は重要な課題です。佐藤常務理事からは「介護の場合は介護職員初任者研修を実施し、一部研修費用の補助を制度化しているほか、外国人技能実習生の力も借りながら進めていきたい」と補足説明がありました。
外国人技能実習生受け入れ制度とは?
外国(おもに新興国)の方が日本で働きながら高い技能を身につけ、その国の発展を担う人を育てることを目的として創設された国際協力のための制度。パルシステム東京は現在ミャンマーからの2名を介護技能実習生として受け入れています。
正規職員と変わらない待遇でご本人にも喜んで働いてもらえているのはもちろんのこと、日常生活のサポートや帰国後の働き口なども含めて整備を進めています。佐藤常務は「正しくていねいな言葉遣いや心温まるホスピタリティーには周囲も学ばされることが多く、現場に非常に良い影響を与えている」と評します。
いっしょに学び、考えよう!これからの地域と福祉のこと
主催の4委員会を代表して「ほっこり・ゆったり居場所づくり委員会」委員長の石橋 聖子さんから、「今日のグループトークでもたくさんの疑問を出すことができた。今日の学びも踏まえ、これからも組合員一人ひとりが色々な意見を出せたら」と閉会の挨拶がありました。
3年ごとに変わる介護保険法の動向を先読みしながら、さまざまな事業の組み合わせの中で地域にどれだけ貢献できるのか。パルシステム東京では総代をはじめとする組合員と一緒に学び、考え、ともに論議を進めています。企業や国まかせで誰かが進めてくれるのを待つのではなく、組合員が求めるものを一緒にできるようにしていきたい、そんな想いを強くした学習会でした。
■ 主 催:
パルシステム東京が考える地域コミュニティと福祉のあり方を学びあおう実行委員会
(ほっこり・ゆったり居場所づくり委員会、福祉・あしたば委員会、明日のケアサポート委員会、ほのぼの福祉委員会)
(取材・編集:パルシステム東京広報室)