活動レポート

東日本大震災から10年

2019.3.2

2019年 3月2日(土)、「東日本大震災から8年、みんなで応援!復興トーク&カフェ ~『3.11を忘れない』~」をパルシステム東京新宿本部で開催しました。

当日は組合員・役職員84名が参加し、疋田香澄さんの講演や各支援団体の取り組みを聞くなかから、被災地・被災者の気持ちに添った、私たちにできる支援はなにかを考えました。

【第1部】 女性が自分らしく生きることが福島支援につながる

黙祷、開会の挨拶に続き、保養支援団体「リフレッシュサポート」代表の疋田 香澄さんにご講演いただきました。
「いつもは福島の子どもの保養の現状などを中心にお話しすることが多いのですが、今回このようなタイトルでお話しすることにしたのは、東京の方にも今福島で起こっていることを身近なこととして感じていただきたいと思ったからです。」と前置きをして疋田さんは講演を始めました。

疋田 香澄 氏 プロフィール

疋田 香澄 氏 プロフィール

1986年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業、東日本大震災直後より、子どもや母親たちと向き合いながら支援を続ける。保養キャンプの主催、現地での相談会開催、支援情報の提供、保養実態調査などを行ってきた。保養支援団体「リフレッシュサポート」代表。
2018年8月、人文書院より「原発事故後の子ども保養支援『避難』と『復興』とともに」を出版。

日本における保養の現状

 チェルノブイリ原発のあったウクライナや隣国ベラルーシでは、事故後、子どもの保養(放射線量の高い地域に住む子どもたちが、線量の低い地域で過ごすことで、体内の放射線物質を排出して本来の免疫機能を取り戻し、心の負担も軽減させることを目的としたもの)が子どもの権利であり、国主導で行われています。
しかし、日本では民間のボランティア主体で保養を行っていて、その保養団体や参加する親子に対して「自分たちだけよければいいのか」「大げさ」などのバッシングが起こったりすることがあり、福島のお母さんたちは、自分が心配性なのではないか、おかしいのだろうか、と悩み、周囲からも孤立してしまうことも少なくありません。

 

日本で保養が制度化されないことと、日本の女性の立場との関係

 日本で保養が制度化されないことについて、私は以前、あるベラルーシの女性に相談したことがあります。すると彼女は「(日本が保養支援をしないのは)日本は女性の地位が低いのではないですか。ベラルーシでは女性の医師がこの問題に熱心に取り組みました」と答えました。
たしかにベラルーシは日本より女性医師の数が多く、一方日本では女性より男性を優遇する大学の医学部のニュースが話題になりました。
日本の政治家は男性が圧倒的多数であり、政治の場まで女性の声が上がらないということを聞きますが、これについても女性は感情的で科学的な考え方ができない性質なので、もし届いたとしても女性の声は軽視してよいという日本の風潮が影響しているのではないでしょうか。
そして私たち女性も、『女性は感情的で非科学的で話にならない』と思い込まされていて、『だから女性が声を上げても届かないのは仕方ない』とあきらめているのではないでしょうか」と問題提起しました。

子どもたちのためにも、イヤなことはイヤと言っていい社会をつくる

 最後に疋田さんは福島に住む子どもから「自分は放射能汚染がとても心配だけれど、それを言うとお母さんが心配してかわいそうだから言えない」と涙ながらに話をされたこという経験を話し、 「お母さんが子どもを守りたいと思う気持ちは当たり前であり、なにもおかしいことはありません。福島のお母さんたちは冷静に自分たちの子どもを守るために声を上げています。女性や子どもが自分を大切にして、『イヤなことをイヤだと感じてよい、イヤだと言ってよい』のだと気づき、声を上げていくことが、二度と原発事故を起こさない社会をつくるのだと思います。」と講演を締めくくりました。

私たちは忘れない。活動を続ける支援団体

   今回の復興トーク&カフェにご協力いただいた団体からの活動報告。被災地の現状や支援活動を紹介していただきました。

【第2部】 防災の備え&体験型ワークショップ

復興応援カフェコーナー

 非常食の試食、グッズやパネルの展示や職員による防災講座、パルシステムのパンの試食、APLAからは福島県二本松有機農研応援クッキー&人参ジュース、フェアトレードのコーヒー販売などもあり、参加者は「非常食がこんなにおいしいなんて驚きました」「パルシステムのパン、おいしい!」と好評でした。

復興応援ワークショップ

【星つむぎの村】星空プラネタリウム体験

【福島県楢葉町わらじ組】ミニわらじ作り体験と販売

参加者アンケートから

参加者アンケートから

「疋田さんの講演がすばらしかったです。社会的、政治的に女性の地位が低いことが子どもたちを不幸にしているのだと思います。もっと話を聞きたいと思いました。」

「プラネタリウム、感動しました。もっともっとたくさんの人に体験していただきたいです。わらじ作り体験では、丁寧に教えていただきました。ありがとうございました。」

「自分が3.11を忘れないように、自分のために参加しました。」

「大震災から8年、だんだん人の記憶が薄れていく中、こういった催しをすることは大変意義があると思います。」

 

などの感想が寄せられました。

パルシステム東京はこれからも「3.11を忘れない、風化させないこと」を心に、復興支援活動を継続していきます。