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生協からのお知らせ

映画上映と パルシステム米生産者のお話から、お米生産の現状を学びました

2018年03月08日

top画

 

  パルシステム東京は1月19日(金)新宿本部で学習会「お米生産の現状を学ぼう!-映画『ホッパーレース~ウンカとイネと人間と~』上映&パルシステム米生産者のお話-」を開催しました。
  この企画は、現在見直しを検討しているパルシステムの「エコ・チャレンジ基準」について、今後予定されている組合員論議に備えるため、農薬の基礎知識、パルシステムの農産物の実情、生産現場の状況等への理解を深めることを目的とした学習会となります。
2017年12月にも関連した学習会を開催しました。
  (12月の学習会の様子はこちら

 

映画「ホッパーレース~ウンカとイネと人間と~」上映

 

  上映に先立ち、映画制作に携わった田坂 興亜氏(アジア学院理事、「国際農薬監視行動ネットワークアジア・太平洋」日本代表)より作品の解説をしていただきました。

 

田坂先生

講師の田坂 興亜氏

 

映画「ホッパーレース~ウンカとイネと人間と~」

 

    体長5㎜ほどの昆虫、稲ウンカは収穫直前のイネにつき、米や茎の養分を吸いとるだけでなく、
ウイルスも媒介する害虫です。
  古くは、享保の大飢饉もウンカが原因のひとつだと言われています。

    この映画は、タイの水田でのネオニコチノイド系農薬の継続的な大量使用により薬剤耐性を
  付けた稲ウンカが大発生している現状と、タイ政府の農薬使用による対応を描いています。

    ネオニコチノイド系農薬は、ウンカだけでなく天敵であるハチやクモ類を殺します。
  そのため、ネオニコチノイド系農薬を大量に使った田んぼには、薬剤耐性をつけたウンカが
  大発生してしまいます。

    農薬会社とタイ政府は農薬を使って対処するよう農民に求めますが、映画に登場する国際稲
研究所のへオン氏は「この状況で農薬を使うのは、ガソリンに火を注ぐようなもの」
  と反対します。

    ウンカとイネと人間のレースは今のところウンカの圧勝。
   ウンカの「See you again!」というセリフで映画は終わります。

    ウンカはタイだけでなく、ベトナムや中国、日本の九州地方でも大発生。
  稲を収穫できない状態にしてしまいます。

    ウンカもハチもクモもいる。自然の生態系が健康的に機能していること、そして生態系を
  破壊するような農薬の使い方をしないことが一番の解決策であるとこの映画は訴えています。

    ウンカの産卵したたまごの中に、天敵のホソガネヤドリコバチが自分の卵を産み付ける
  貴重な映像も見られます。

 

ウンカ

トビイロウンカ

 

  映画「ホッパーレース~ウンカとイネと人間と~」  2013年/日本/60分
    公式ホームページ

映画チラシ

 

 

  

講演「安全安心な食生活と豊かな農村環境を保全するために-長期残留農薬の再検討を」より

 

  映画上映後、稲葉 光國氏(NPO法人民間稲作研究所(栃木県)理事長、パルシステム米生産者)より、「安全安心な食生活と豊かな農村環境を保全するために-長期残留農薬の再検討を」というタイトルでご講演いただきました。

稲葉先生

講師の稲葉 光國氏

 

「私は農薬を使いません。でも、私の田んぼに害虫の大発生は起こりません。」

 

    日本では農薬使用により害虫が大発生するという認識が全くありません。
  そのため害虫対策は農薬に頼るという体制が主流のまま現在に至っています。

    私は有機稲作を始めて27年になります。
  私の田んぼは近くに山もあり、稲の害虫であるカメムシの生息には最適のはずですが、
  大発生にはなりません。なぜだと思いますか。

  それは、カメムシの天敵のクモやカエルも生息しているからです。生態系を壊さなければ
自然に数が調節され、大発生などは起こらない。私はこんな楽なことはないと思っています。
    楽である上にこれが大発生の最大の防御であるということがすでに実証されています。

 

  マスクをしないで農薬を使えば、人体に深刻な影響があります。
  また農薬使用で生態系も破壊してしまう。私は農薬を一切使いません。

 

カメムシ

稲についたカメムシ(イメージ)

  

  

  

今一番の問題、育苗箱施用剤(せようざい)とは

 

    私が今一番問題だと思うのは、農家の方が気軽に使うことが多くなった育苗箱
  施用剤のことです。

    育苗箱施用剤とは、田植え寸前の育苗箱に1箱あたり50グラム使用する農薬の
  ことで、残効性が高いため農作物に長期残留するのが特徴です。
  ネオニコチノイド系農薬を使用すると約3ヶ月、種類によっては約1年間残留する  
  農薬もあり、結果的に総使用量が少なくて済みます。

  今まで農薬を何回も使用しなければならなかったのに、1度使うだけでいい。
  高齢化で体の負担が増している農家が楽に農薬を使用できるため、瞬く間に
  広がりました。

  

    農協や政府は箱施用剤について「たった1度の使用で済み、総量も今までの
  半分の量しか使わない。
   だから環境に配慮した【環境保全型農業】である」としています。

  

    このような単純な理由で【環境保全型農業】としてしまっては、ますます事態は
  悪化してしまう、というのが私の見解です。

 

 

ヨーロッパで販売できない農薬を、アジアで販売し続ける多国籍企業

 

    長期残留農薬は確実に食べものに残ります。
  しかし、こうした農薬は、アジアの国々でもとても多く使用されています。
  最近は中国でも非常に増えています。

  

    ヨーロッパでは、ネオニコチノイド系農薬の環境影響、人体影響を考慮し、
  使用禁止の方向に動いています。グリホサートも同様です。
  そのため農薬会社はヨーロッパで使用禁止になった農薬の在庫を
  規制のされていないアジアで販売することにしたのです。

    私は今、アジアの各国は農薬のゴミ捨て場のようになってしまっているような  
  気がしてなりません。

  

    農薬、化学肥料神話を覆すことが、多国籍企業に支配され餌食にされようと  
  しているアジア農民の経済的自立に繋がるのではないかと考えます。

  

講演風景

  

  

これから私たちは何ができるか

  

    私たちは農家のデータを元に、無農薬、有機栽培の稲の病虫害対策を出しています。
  ウンカやカメムシの発生や、いもち病などの病気の発生も、根本的な原因を考えて
  対策をすれば農薬を使わずに防除ができます。
  今の日本は対症療法ばかりで原因を問うことをしません。こういった考え方を変える
  ことができれば、農薬に頼らない農業ができると考えています。

  

    植物も昆虫も動物も、生きとし生けるものはそれぞれみんな関係性を持っています。
  この神の恵みをちゃんと活かすことが有機栽培です。
  生物多様性を壊すような農薬の使用方法は、再検討する必要があると思います。

  

    農業で大変な雑草対策についてお話しします。
  私は特別栽培で農薬を使うのであれば、長期残留の箱施用剤ではなく、除草剤を1回
  だけ使う環境保全型農業を提案しています。

    農薬ばかりに頼っていては、海外から輸入される安い米となんら変わらないという
  判断を消費者にされ、日本の農家は安さ競争に巻き込まれて破綻してしまいます。
  こうならないために生物多様性を活かし環境に働きかけた、安心安全で、子どもたちの
  健康を願う稲作りをしていることをもっと宣伝し、政府は取り組みに対して
  保障することが必要です。

    消費者も農家にこのような米作りをしてほしいと自分たちから提案し、農家の取り
  組みを後押しするため声をあげ運動する。
  消費者にもそういった姿勢が必要だと思います。

  

  政府や生産者だけの問題ではなく、消費者も自分たちの問題として声をあげ運動することが非常に大切なことを稲葉氏は力強く訴えました。

  

稲穂

  

参加者アンケートから

  

  学習会の参加者からは、
「分かりやすく納得のいく内容だった」
「生物多様性の重要性を改めて感じた」
などの意見が寄せられました。

  今回の学習会の内容や参加者の意見を踏まえ、エコ・チャレンジ基準見直しを関係者で論議し考えていく予定です。

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