<人>消費者政策

生活協同組合パルシステム東京の消費者政策

──消費者問題と消費者課題を解決するために──
1.政策を定める背景と生活協同組合に期待される役割

近年、わたしたちのくらしを取り巻く環境は著しく変化しています。急速なデジタル社会の発展によって便利なくらしを享受する一方、SNSやインターネット取引を通じた新たな消費者被害が広がっています。また、これまでの経済発展や技術革新の裏側では、環境の悪化や新たな健康被害への懸念も生まれており、次世代の子どもたちに持続可能な社会を継承していくためには、これまで以上に私たち自身がエシカルな消費行動に取り組んでいくことが問われています。

 生活協同組合(以下、生協)は、くらしの安定と生活文化の向上を目的に、生活者自らがつくりあげた組織です。パルシステム東京では、理念・ビジョンに基づいて、日々のくらしの課題解決に向けた学びを広げ、様々な商品やサービス開発や社会に向けた課題提起を行ってきました。これらの活動を組合員とともに広げていくことは、地域へ浸透していき、やがては大きなくらしの課題解決につながります。

東京都で活動する生協として、自らの活動に加え、行政や他団体との連携をはかることで、都内における消費者に関わる課題のさらなる改善をすすめることを目的に本政策を定めます。

2.東京都消費生活基本計画と連携して取り組むテーマと活動

東京都では東京都消費生活基本計画を定め、5つの施策とテーマに沿った活動をすすめています。東京の生協として、パルシステム東京が行政・他団体と連携して取り組む範囲を以下の通り定めます。

5つの施策 テーマ 取り組む範囲
消費者被害の未然防止と拡大防止

・被害防止のための注意喚起・情報発信

・高齢者の見守りによる消費者被害の防止と早期発見

・行政及び連携団体が行う広報・イベントの協力

・事業・活動における見守りの実施と関係者との活動連携

不適正な取引行為等の排除と健全な市場の形成

・不適正な取引行為等の排除

・健全な市場の形成

・行政及び連携団体の行う広報・イベントの協力

・都内消費者団体等との連携活動

消費生活の安全・安心の確保

・商品・サービスの安全の確保

・安心して商品・サービスを選択できる取り組みの推進

・災害時における生活物資の供給確保

・行政及び連携団体の行う広報・イベントの協力

・政策・基準等に基づく商品・サービスの開発

・連携団体とすすめる社会的提言

・学習会の開催

・連携団体とすすめる災害時の生活物資供給

消費者教育の推進と持続可能な消費の普及

・成年年齢引下げに対応した消費者教育の強化

・急速なデジタル化など社会状況の変化をふまえた消費者教育の推進

・持続可能な社会の形成に貢献する消費

行動の促進

・行政及び連携団体の行う広報・イベントの協力

・連携団体とすすめる社会的提言

・学習会の開催

・理念・ビジョンに基づく商品・サービスの開発と利用普及

消費者被害の救済

・消費生活トラブルの解決に向けた相談対応

・被害回復のための取り組みの推進

・関連団体を通じた相談窓口の設定

・連携団体を通じた被害回復の取り組みの推進

3.事業と活動を通じた取り組みのすすめ方

パルシステム東京は、理念・ビジョンに基づき、組合員のくらしの安心や持続的な社会につながる商品やサービスの利用普及をすすめるとともに、政策に基づき、懸念される様々な諸課題について他団体と連携した学びや社会的活動をすすめています。また、地域においては委員会活動をはじめとした組合員の主体的な活動が行われています。続いて事業においては、宅配事業や福祉事業を通じて、日々組合員をはじめとした地域の方との接点があり、巡回もしていることから、詐欺をはじめとした消費者トラブルの被害防止や、災害時における支援活動が期待されています。

これらの特性を活かし、以下の通りパルシステム東京の事業と活動を通じた取り組みをすすめます。

【活動】

・東京都と連携し、消費者基本計画に基づく啓発イベントや広報活動に協力します。

 例:高齢者消費者被害防止に向けた広報配付やイベント参加、消費者フェスタ等の参加など

・東京都生活協同組合連合会や東京消費者団体連絡センターを事務局とし、他生協をはじめとした団体との連携活動に参画します。

 例:定例会議を通じた情報共有、消費者行政訪問活動など

・地域の組合員活動を通じて安全・安心な商品の普及や持続可能な社会づくりに寄与します。

 例:委員会活動を通じた学習活動、消費者展や消費者団体連絡会の参加など

・くらしのトラブルをはじめとした相談を受け付けるとともに、公的機関や連携団体につなぎます。

 例:くらしの相談ダイヤルの設置、消費生活センターや適格消費者団体への取次ぎなど

【事業】

・パルシステムの商品政策や環境政策等に基づく商品・サービスの利用普及や、他団体と連携した行政への働きかけを通じて安全・安心な商品の普及や持続可能な社会づくりに寄与します。

 例:各種学習会の開催、他団体と連携した啓発イベントや政策提言など

・供給事業・福祉事業を通じた近隣住民を含む高齢者の見守りを行い、適宜必要な関係者につなげることで消費者被害の防止に寄与します。

 例:行政との協定に基づく配送・介護時における見守り、見守り事業者連絡会議への参加など

・東京都生活協同組合連合会を事務局とし、他生協をはじめとした団体と連携し、災害時における生活物資の供給に寄与します。

 例:東京都との災害時における応急生活物資等に関する基本協定、緊急災害車両登録など

4.備考

東京都は、都民の消費生活の安定と向上をはかるため、昭和50年に東京都消費生活条例にいち早く消費者の権利の確立を明確に定めるとともに、平成9年に東京都消費生活基本計画を策定し、国に先駆けて消費生活行政を総合的に推進してきました。その後、消費者を取り巻く環境の変化をふまえ、基本計画を改定し、計画期間を5年間と定め、取り組みをすすめています。本政策は、東京の生協として東京都と連携してすすめる取り組みとしているため、5年毎に実施される東京都消費者基本計画の改定に基づき適宜見直すものとします。

生活協同組合パルシステム東京の消費者政策 

2009年1月29日制定

2011年12月22日改定

2025年5月14日改定