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「グリーン新電力設立1周年記念シンポジウム」開催 | 再生可能エネルギー中心の社会を作るために

2014年05月08日
[ エネルギー政策の推進 ]

  4月12日(土)、パルシステム東京が子会社(株)うなかみの大地に新電力事業部門を設置して1年を記念するシンポジウムが、パルシステム東京新宿本部にて開催されました。政府が原発をベースロード電源とすることを明記した「エネルギー基本計画」を閣議決定するなかで、再生可能エネルギー(以下再エネ)を拡大するために何ができるかを考えました。

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基調講演   「再生可能エネルギーとエネルギー自治」
                  -市民が電気を選べる社会をつくるために-

          諸富   徹 教授(京都大学大学院経済学研究科)

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政府の「エネルギー基本計画」について

  原発再稼働や新設まで視野に入れる一方で、再エネ拡大には明確な目標を設定しないなど、福島原発事故がなかったかのような政府の計画は、多くの市民の気持ちから離れたものと言わざるをえません。

  しかし、計画のように、原発が今後もベースロード電源になりえるかをいえば、それは難しいと考えます。原発の再稼働には巨大地震や津波などへの対策が要求され、そのためには莫大な投資が必要。また、大間原発の建設中止を求める函館市の行政訴訟に見られるよう、周辺自治体の理解を得ることも難しくなっています。今や電力会社にとっても、原発は安く安定した電力を供給できるシステムではなくなっているからです。

 

電力システム改革はなぜ必要?

  これまで日本の電力事業は原発、大規模水力をベース電源とし、ピーク時の需要を火力発電や水力(揚水)などでまかなうように構成されていました。送電網も大規模な発電所から消費地へ、大量に電力を送ることを前提としています。

  しかし、東日本大震災による計画停電でもわかるように、このような電力システムでは大災害時の電力供給に問題があることが露呈しました。それに代わる電力として地域資源を活かした小規模な再エネ発電が、注目されるようになってきました。とはいえ太陽光発電は晴れている昼間しか発電できないなど、再エネは既存の電力に比べて発電量が不安定。供給能力をコントロールしにくいデメリットがあります。電力会社にとっては供給を不安定にする再エネは、なるべく受け入れたくないという意識も働きます。

  しかし、枯渇する資源問題や原発の危険性を考えれば、今、発想を大転換することが求められています。不安定な再エネ導入を前提とした、新しい送電網をどう構築するかという視点で考えていくことが重要です。

 

電力自由化で電気料金は下がる?

  日本の電力事業は、長い間、地域ごとの大手電力会社が独占し、電気料金も一定でした。電力自由化が始まりましたが、その歩みは遅々たるものです。

  たとえば発電と送電・配電の分離はまったくの手つかず状態で、電力会社が独占しています。このため、新規参入が一部認められるようになった発電や配電部門も、電力を供給するためには電力会社が所有する送電網を使う必要があり、その使用料(託送料)を払う必要があります。けれど、大手電力会社は他社が利用する場合、料金を高く設定するなどの不公平が指摘されており、早急に発送電を分離し、透明性、中立性を高めることが求められます。

  また、現在、大口利用者に限って使用電力を選べる電力の小売りも、2016年から一般家庭まで拡大する予定です。大口利用者が電力会社を選ぶようになり、電気料金は2割程度下がりました。一般家庭への電力小売りが実現すれば、同じように電気料金が下がる可能性も出てきます。

 

再エネ拡大の費用負担―固定価格買取制度

  ところで、再エネの拡大・普及には、新しい送電網の構築など莫大な費用がかかります。それを支えているのが、2012年から始まった「固定価格買取制度」です。すべての電気利用者から徴収されている「再エネ発電賦課金」がそれです。再エネで発電した電力が長期間、固定価格で買い取られるため、発電者は安定した売電収入を確保できるメリットがあります。

  その効果は大きく2000年に「固定価格買取制度」を導入したドイツでは、電力生産比率の約1/4が再エネに(2012年)。2050年には再エネ率80%をめざしています。しかし再エネの進展とともに、利用者が支払う賦課金も多くなり電力料金が上がっているのも事実です。電力料金の値上がりで産業や雇用へ悪影響が出ているとも指摘されていますが、再エネ設備が整う2020年代には、既存電源との費用差は逆転すると予想されています。

 

再エネと地域再生の取り組み―飯田市の場合

  震災後、津波による塩害で使用できなくなった田畑にメガソーラーを建設し、発電した電力を消費地に送る取り組みが目立っています。確かに建設時には一定のお金が地域に落ちますが、その後、地域は資源を提供するだけの存在になってしまいます。これに対し、発電資源をもつ地域が主体的に事業を立ち上げ、売電収入を再投資して地域の活性化につなげる試みが注目されています。

  長野県飯田市の例を紹介しましょう。飯田市では市民の寄付から太陽光発電を設置する市民共同発電所を設立し、2005年、市民出資「おひさまファンド」による太陽光発電事業を立ち上げました。集まった資金で太陽光発電と省エネ事業を展開(2007年におひさまエネルギーファンド(株)設立)、出資者には収益にしたがって2%前後の分配金を支払っています。

  さらに再エネ事業を拡大するために、飯田市は全国で初めて地域版の固定価格買取制度を導入。これによっておひさま事業の基盤が安定。また、2013年には「飯田市再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例」を制定。再エネ導入のための基金創設や、公民館活動を通して住民の中からの人材育成にも取り組んでいます。さまざまな民間主体の事業に対し、中立的な立場で再エネ拡大を推進するのは、自治体の大切な役割です。

飯田市のような取り組みが全国に分散して点在し、都市とネットワークを組むようになることが再エネ中心社会の構築につながります。

 


 

パネルディスカッション  「地域分散型のエネルギーは、地域間連携の力から」

パネラー: 
      工藤  誠一 氏(山形県野川土地改良区)
      中尾  幸一 氏(栃木県那須野ヶ原土地改良区連合)
      谷口  信雄 氏(再生可能エネルギー・アドバイザー・元東京都環境局職員)
      佐藤  功一(パルシステム東京  専務理事)

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(右から司会の谷口氏、諸富氏、パネリストの中尾氏、工藤氏、佐藤・パルシステム東京専務理事)

 

 

  「再エネ拡大のためには、発電資源はあるが電力需要が少ない地方と、資源はないが膨大な需要がある都市部の連携が不可欠。食べものと同じように地方で生産した電力を、都市で消費する、エネルギーの“地産都消”が循環型社会をつくる」と説く、谷口氏の進行でパネルディスカッションはスタートしました。

 

  佐藤・パルシステム東京専務理事は18センターとグループ生協の一部センターなどに再エネ中心の電力を供給する、パルシステム東京の新電力事業の概要を紹介。「食作りでつながる地域と、エネルギーでもつながり、将来は組合員が再エネ中心の電力を選べるシステムを作りたい」と話しました。

  これに続き、2014年1月から再エネ電力の提供先となった那須野ヶ原土地改良区連合の中尾氏は、地域に豊富に流れる農業用水を小水力発電に利用するシステムを説明。「正直、売電の依頼は他からもありますが、地域の活性化をめざし脱原発やCO2削減に取り組むなど、志が同じパルシステム東京さんとご一緒することにしました」と話し、会場からは拍手が。

  また、野川土地改良区は2014年度下期に農業用水を利用した野川発電所が稼働する予定。工藤氏は「パルシステムさんとは前身生協時代から、米作りを通して長いおつきあいがあります。これまで、ともに未来につながる食、環境づくりを目指してきたが、発電でもきずなを深めることができたらいい」と語りました。

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  最後に、谷口氏は「地方と都市住民をつなぐ生協は、再エネ拡大の新電力事業を進めるためには非常によいポジションにいる。再エネ拡大の牽引役として期待できる」とエールを送り、諸富教授は「電気は野菜のように、そのよさを目で見分けることはできない。このため、事業者はどのように発電した電気なのか、きちんと説明することが大切だし、消費者はそれをきちんと知って選ぶことが、一層重要になってくる」と結びました。

 

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