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「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)に係る審査書案」に対して意見書を提出しました

2022.6.15

2022年6月15日、パルシステム東京は「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)に係る審査書案」に対して意見書を提出しました。

 

 

2022年6月15日

原子力規制庁原子力規制部
東京電力福島第一原子力発電所
事故対策室審査班宛て

 

「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)に係る審査書案」に対する意見書(パブリックコメント)

 

生活協同組合パルシステム東京
代表理事 理事長 松野 玲子

 

 私たちパルシステム東京は、平和を基本とし「『食べもの』『地球環境』『人』を大切にした『社会』をつくります」を理念に掲げ、組合員が安心して暮らせる持続可能な社会の実現を願い、事業と活動をしている生活協同組合です。 

 

 当組合では、2020年5月の多核種除去設備等処理水の取扱いに対してのパブリックコメント、12月の「トリチウム等汚染水の海洋放出反対」と「放射性物質拡散防止の規制強化」に関する意見書、さらに2021年6月「ALPS処理汚染水の海洋放出」の閣議決定に対する抗議文にて、東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける多核種除去設備で処理した放射性物質を含む水(以下、ALPS処理汚染水)の海洋放出に反対してきました。また、パルシステム連合会をとおして、呼びかけ団体による「アルプス処理水海洋放出に反対する署名」への取り組みも実施しました。

 2021年4月13日に菅内閣は、東京電力福島第一原発で生じている放射能処理水の処分をめぐり、「海洋放出」を閣議決定し、12月に東京電力による実施計画の審査を原子力規制委員会に申請しました。この度、2022年5月18日に、原子力規制委員会は安全性に問題がないとして、審査結果をまとめた審査書案を了承しました。

 これは事実上の合格を意味しますが、以下の点から強く抗議します。

 

1.国民的合意ができていません (全般、p29理解促進)

 ALPS処理汚染水の海洋放出については、全国漁業協同組合連合会及び福島県漁連による反対、また、2020年に実施されたパブリックコメントでも否定的な意見が大半を占め、多くの問題を残したまま国民との民主的な合意形成が行われずに計画が進められています。国民的な合意を図る約束は厳守してください。

 

2.放射線影響評価の結果に不安が残ります。(p31~)

 ALPS処理汚染水が海洋中に放出された場合、①人への放射線影響、②潜在被ばくによる放射線影響、③海洋動植物への放射線影響、3つの観点から評価を行った結果が示されましたが、規制基準を満たしていたとしても、海洋環境への影響は計り知れないものがあり、安全性に対する不安が残ります。特に人への放射線影響については、海洋に放出された放射能が魚介類を通じて生体濃縮される可能性があります。全ての魚介類について、生体濃縮のリスク評価をすべきであり、そのデータの公開を求めます。

 

3.海洋放出の技術的課題について(全般)

 今回の処理方法は海水をくみ上げて汚染水を希釈し、海に放出する手法を取り入れています。汚染物質そのものが無毒化されていないため、汚染水をそのまま海洋に放出し海洋中で希釈されたことになります。海洋放出ではなく、大型タンク保管案とモルタル固化処分案などの代替の検討を求めます。

 

4.特定した放射性核種すべてを測定・評価の対象とし、結果データを公表すべきです。(p23~)

 「東京電力は、国内における廃止措置や埋設施設に関する知見を踏まえてALPS処理水を海洋放出する際に放射性核種を特定した上で、測定・評価の対象とする放射性核種を選定する方針としており、規制委員会は、この結果をALPS処理水の海洋放出が開始されるまでに別途確認する。」としていますが、測定・評価の対象とする放射性核種を選定するのではなく、特定した放射性核種すべてに対して測定・評価を行ったうえで、結果データを公表することを希望します。

 

5.トリチウムの除去技術についての実用化を求めます。(全般)

 福島第一原発には、ALPS浄化装置で除去できないトリチウム水が100万トン以上保管されています。東京電力ホールディングス株式会社では、トリチウム分離技術について、国内外から実用技術の公募を行っていますが、実用化の実現に向け、一刻も早い対応を望みます。

 

以上

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