【明日への種まき】原発を動かすと溜まり続ける高レベル放射性廃棄物 その処分は私たちの大問題です

【明日への種まき】原発を動かすと溜まり続ける高レベル放射性廃棄物 その処分は私たちの大問題です

講師の高野聡さん(認定NPO法人原子力資料情報室スタッフ・経済産業省特定放射性廃棄物小委員会委員)。

核のごみはしっかり固めて、 地下300m以下に。ではどこに埋める?

   2025年2月に2040年度の電源構成20%を原発に(第7次エネルギー基本計画)と閣議決定されたり、

すでに11基の原発が再稼働したり、原発ありきへと舵がきられています。

ただ原発は「トイレなきマンション」とも呼ばれ、事故が起きなくても発電のたびに高レベル放射性廃棄物が発生し、その一時保管施設はほぼいっぱいです。

核のごみの「地層処分」とは…

使用済み核燃料を再処理し、ウランやプルトニウムを燃料として再利用しつつ、その過程で発生する高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて固め、金属容器にしまう。それを地下300m以下に埋め、10万年間保存する

イラスト:図工ムクモト

 この問題を考える学習会が開かれ、講師の高野聡さんは「地層深くに埋めるという最終処分法(※)が制定(2000年)されましたが、300人の地質学者らは地震国日本には地層処分に適した場所はないと声明を発表しました」と話し、地層処分のリスクを指摘。

さらに、処分地選定に向けた文献調査(第一段階)が実施された北海道 寿都(すっつ)町の現状に言及。

※特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律 

寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村

2020年から開始した第一段階の文献調査で、両町村とも第二段階の概要調査が可能との結果が、昨年11月に出た

「処分地になることの不安を話したら、推進派から分断をあおっているのかと決めつけられ、近所の方とも疎遠になり、傷つきましたと話す人もいて、地域は推進派と反対派で分断が起きています」

「地元自治体などが開催した“対話の場”への参加は推進派がほとんどで、心配する人は少数。思いを発言する権利も無視されるなど、分断は人権問題として理解すべきです」

と話しました。

 ただ経産省内の放射性廃棄物に関する委員会で、地層処分を問題視する地質学者に発言機会が与えられたように、「反対する声を無視できなくなっています」とも。地下深くに埋めたあとも残り続ける核のごみ。

「このまま処分を後世にゆだねるのか、それとも稼働を止めて未来への負担を少しでも減らすのか、私たちは真剣に考えなくてはいけません」と結びました。

取材は2025年5月16日現在

高野聡さんは3月20日開催のオンライン学習会で

「安全な処分方法も確立していないのに原発の再稼働が先に進むのはおかしいのでは」と話しました