【明日への種まき】涼しいイメージの夏の北海道も、ここ数年は猛暑。富良野の生産者さんに気候変動の影響を聞きました。

【明日への種まき】涼しいイメージの夏の北海道も、ここ数年は猛暑。富良野の生産者さんに気候変動の影響を聞きました。

有限会社 富良野青果センター代表の村上洋巨(ひろみ)さん(写真左)と、セールスマネージャーの岸本和則さん。 総農地面積約200haとハウス126棟で、じゃがいも・玉ねぎ・人参・ミニトマトなどを生産している

農作物を作りづらくなったけど、 暑くても寒くても農業は魅力的!

 北海道でも真夏日が続いたこの夏。有限会社 富良野青果センターの村上代表に、猛暑の影響を聞きました。

「異常な暑さを実感するようになったのは、3年前です。

いままでの北海道なら、作物は6月ごろに葉が青々としはじめ、適度な雨でぐんぐんと育ちます。

しかしここ数年は、雨が必要な時期に干ばつのような日が続き、猛暑がはじまったかと思うと突然の大雨…。

極端な気候で、収穫した作物に痛みが出ることもあります」と語ってくれました。

 

2025/8/23〜24 収穫体験&交流企画「富良野をまるごと味わう2日間」

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じゃがいも収穫を体験する参加者たち。 トラクターが掘り起こした畑には、じゃがいもがゴロゴロ

 猛暑は働く人にも影響します。

「北海道では見られなかった虫が大量発生。スズメバチに刺され病院へなど、虫による被害が起きています。熱中症もとても心配しています。北海道でも農作業中の死亡事故が起きました。富良野青果センターでも、生産者が体調を崩し早退することもありました」と村上代表。

「作物や環境に影響を与えないよう、なるべく除草剤は使わない方針。人参栽培では畑に一列に並び、手で雑草を抜く作業が欠かせません。そんな作業を炎天下でするときには、水を飲もうと声をかけ合ったり、畑でとっていた昼休みを屋内に変えたりするなどの対策をとっています」

腰まで葉が生い茂った畑。根元を引き抜くと、人参!

 機械化は、炎天下の作業を軽減し、暑さ対策に有効です。「そのうえ自動操舵トラクターにより、3〜4年かけて習得する農業技術が短時間で身につけられ、経験値向上にもなっています。また若いスタッフは『この機械をこう使うと効率的です!』と、自分で考え工夫したアイデアをイキイキと話すことも。収穫した喜び、組合員のみなさんからの『おいしかった』の言葉、さらに機械を駆使したスマート農業が、スタッフたちにとって農業の魅力になっています」

取材は2025年10月17日現在

大きなハウスでミニトマトを収穫。その場で食べたくなって、パクリ!