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平和

2015年度平和カンパ活動報告~日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)~

2016年06月24日

特定非営利活動法人日本イラク医療支援ネットワーク

2015年度「平和カンパ」活動報告書

イラク小児がん、白血病支援


実施地域:イラク共和国、バスラ州

支援対象者:イラク共和国、通院のための交通費などを必要とする貧困家庭の小児がんの子ども

背景

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2003年のイラク戦争が始まってから13年がたち、JIM-NETが経ちあがってから12年が経ちました。

しかし、イラクの治安は安定しないまま、「イスラム国」のようなテロの温床を作ってしまいました。20141月に、「イスラム国」がファルージャを制圧、イラク政府軍との激しい内戦状態が続き、6月には、モスルが陥落します。 8月には米軍をはじめとした有志連合が空爆を開始し、国内避難民は330万人(20164月現在UNHCR/IOMによる)を超えています。


バスラは、比較的安定していましたが、昨年、10月5日(現地時間),バスラ県のズバイルにおいて,自動車に仕掛けられた爆弾が爆発し,少なくとも10人が死亡,25人が負傷するというテロ事件が起きています。「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)南部州」が,イスラム教シーア派の人々が集まる場所を狙ったとの犯行声明を発出しています。

ちょうど、現場に出くわしたローカルスタッフから写真も送られてきました。

105日、夕方5:50私が住むジュベール地区の市場に買い物に出かけ、中心地でタクシーから降りるところ大きな爆発がありました。50 mしか離れていないところで、爆発があり、爆風で私はひっくり返りました。連続爆発かもしれないので5分ほど待機し、現場近くに行きました。たくさんの人が逃げ惑っており、25人が死亡、80人がけがをしたとのことです。

男の子が血を流して倒れており、私は、この子の救援活動を行ったために、服が血だらけになってしまいました。また、商店8店舗が焼け、5つの自動車が壊れた・焼けたとのことです。」(バスラ現地事務所代表イブラヒム)

2015JIM-NET_houkoku2(S).jpgバスラでは、部族間で武器を使用した衝突の散発的な発生や、犯罪集団による身代金目的の誘拐、、強盗、殺人事件などが続いており、政治の腐敗、公共サービスの低下、公務員の給料不払いなど住民の不満が蓄積され、昨年の8月以降抗議デモも頻繁に行われています。

私たちが支援する小児がんに関しても、政府の収入が、石油価格の低下や、予算配分が「イスラム国」などに対する戦費へ回され、支援先のバスラ子ども病院も厳しい環境に置かれています。

JIM-NETからの薬の支援は非常に重要ですが、日本から送金していた銀行にドルがなくなるなど、昨年10月あたりから送金したお金が引き出せない状況が続いています。治安悪化などで、海外からの投資も滞り、インフラ整備などの日雇いの仕事もへり、がん患者をもつ貧困家庭の状況は、かなり厳しくなっています。

 

 

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イラクの地図:バスラ周辺は比較的安定しているが、イスラム国によるテロが散発している。

目的と成果

2015年度は、小児がん患者の貧困患者

1.バスラこども病院に通う患者のうち、貧困家庭を選び交通費を補助。毎月50$ないし100$を15-20人ほどの子どもたちに支援する。

2. 期待される効果

子どもたちが、病院に行き、決められたプロトコールを受けられることで子ども達の命が救われること

実績

毎月予算1000ドルとし、一人あたり50ドル―150ドルで主に、病院に来るための交通費として支援した。しかしながら、毎月予算が若干オーバー気味であり、年間の支援実績としては、延べ人数で190人、総額12,750ドルとなり、750ドル予算がオーバーした。

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支援した患者の父親の職業を見ると無職であったり、すでに死亡しており、母親が家計を支えなければならないケースなどが多い。

また、兵士として、ファルージャやモスルの戦場に送り込まれる人たちも最近は見受けられる。

【ケース1】 カーシム・ハキーム 13歳男性 白血病
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8年前に化学療法を始めた。兄と3人の姉妹。

3年前に父親が死亡した。

JIM-NETは足りない薬を買ってあげたり、家庭を訪問しては、一緒にスーパーに買い物に行き、食料などを買ってあげることもある。

「日本の支援がなければ、この子は生きられなかったでしょう。とても感謝しています」と母親からのコメントをいただいています。

【ケース2】 アリ・ラシード 14歳 リンパ腫  
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10年前から化学療法を始めた。

父親の仕事はタクシーの運転手だったが、2005年に米軍の攻撃を受けて死亡。

現在は母親と2人の姉妹と一緒に暮らしている。

【ケース3】 アブドッラー・ダルィーシ 3歳 白血病  
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サラハディーンに住んでいたが、2015年3月5日に、イラク軍とイスラム国の戦闘が激しくなり避難してきた。

バスラの郊外にある避難所に収容されている。キャンプは225家族が住んでいる。

【ケース4アリ・ムハンマッド・ジャーシム 12歳 脳腫瘍  
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シーア派の一派といわれているシャバック派。

モスルにいたが、「イスラム国」の迫害にあい、祖父は、殺された。

2014年に南部に避難した。

 

まとめ

パルシステムから頂いたご支援のおかげで、バスラこども病院に通う小児がん患者のうちでも特に貧困家庭を支援することができました。

イラク戦争から13年経過した今でも、状況は悪化し続けています。イラクは石油が取れる国であるにもかかわらず、アメリカをはじめとして、日本も大きく加担したイラク戦争の爪痕が、いまだにくっきりと残り、新たな火種を生み出すことになっています。

昨年は、バスラからスタッフのイブラヒムが来日し、今まで支援を続けてきた、元患者のハウラ・ジャマルさんを同伴して、講演することができました。

イラクの現状では、これほどまでに、復興が遅れ、治安が悪化している中での、支援の成果を出していくことが難しい中で、支援を始めたころのがんの子どもたちの5年生存率が30%程度だったのが、今では60%を超える数字が出ています。その一例として、治療を終えたハウラさんとの出会いは、私たちに勇気を与えてくれるものでした。

平和カンパのみならず、そのような機会を別件でも提供してくださったパルシステム様に改めて、感謝の気持ちを表明したいと思います。ありがとうございました。

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 2006年治療中のハウラ 2015年来日時のハウラ 

※2015年8月9日開催「白血病を乗り越えたハウラさんとイブラヒム先生『トークと交流会8.9』」の詳細はこちら

 

 

 

 


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