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【開催報告】 学んでみよう、いま沖縄で起きていること 日米外交の視点から見た沖縄問題

2016年03月24日

  辺野古への基地移設を巡り、国と沖縄県双方が裁判で争う異例の事態に発展している沖縄基地問題。今年度、第3回目となるパルシステム東京の連続平和学習会では、新外交イニシアティブ事務局長の猿田佐世弁護士を講師に迎え、沖縄基地問題の本質と論点、日米外交のあり方をお話しいただきました。(12月5日 中野サンプラザにて)

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猿田 佐世 氏 プロフィール

新外交イニシアティブ事務局長。早稲田大学法学部卒業後、タンザニア難民キャンプでのNGO活動などを経て、2002年日本にて弁護士登録、国際人権問題等の弁護士業務を行う。2008 年コロンビア大学ロースクールにて法学修士号取得。2009年米国ニューヨーク州弁護士登録。2012年アメリカン大学国際関係学部にて国際政治・国際紛 争解決学修士号取得。大学学部時代から現在までアムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ等の国際人権団体で活動。

 

 

沖縄問題、その歴史を学ぶ 

  日本の人口の1%にあたる143万人のくらしがある沖縄。日本の国土の0.6%の面積しかない沖縄に、在日米軍専用施設の74%が集中して存在しています。猿田氏は沖縄の現状を次のように話します。

  「今、多くの沖縄県民の反対がある中、日本政府によって名護市辺野古への基地移設が進められています。日本の平和のために沖縄基地は必要と本土の人は言いますが、基地があるために沖縄には今も平和が訪れていません」

  沖縄は第二次世界大戦では地上戦の戦場となり、20万人もの命が失われました。1945年6月23日、沖縄戦終結とともに米国占領下となり、戦中・戦後にかけて強制接収によって米軍基地が開設されていきます。1972年に日本に返還された後も、米軍ヘリコプターの墜落事故や米兵による暴行事件など(*)が頻発し、その責任の追及さえもできないでいる、といった理不尽な歴史を重ねています。

*1972の沖縄返還から2013年までに米軍関係の犯罪摘発数は5,833件(年平均142件)発生し、そのうち1割は殺人、強盗、強姦、放火などの重大犯罪。米軍機事故は1972~2013年で594件(年平均14件)に及ぶ。(参考:沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成26年3月)

 

日米外交の視点から見る沖縄を巡る議論 

  猿田氏は、米軍は「他国に対する抑止力として米海兵隊基地が沖縄にあることが絶対に必要」とは考えていないことを指摘し、一向に解決しない基地問題の根源は、米国側というよりもむしろ日本政府にあると続けました。

  中でも、猿田氏は、日本人がアメリカの影響力を使って日本で政策を実現する方法「ワシントン拡声器」に注目。そのやりかたを次のように説明します。「例えば、訪米した日本の政治家がワシントンの日本研究者と面会し、集団的自衛権の行使容認などその政治家の意向を伝えます。そして、これらの米国人らはその情報に基づいてワシントンで発言します。日本のマスコミは、こういったアメリカ人の発言を「アメリカの声」として日本国内で大きく報道するため、さも日米間の動かしがたい事実として見方が固定化されます。沖縄基地問題についても同じ手法が取られ続けています」

  実際、「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると沖縄が最適の地域である」との森本敏元防衛大臣の言葉(2012年12月25日防衛大臣会見)にもあるように、軍事的意義を突き詰めて考えると、沖縄に基地を集中させることのリスクもあり、海兵隊を沖縄におく必然性がないことが米シンクタンクなど多くの論者によって指摘されています。にもかかわらず、『辺野古は唯一の選択肢』という見方を定着させたのも、このワシントン拡声器の効果を使いながらの日本側の外交の結果である、と猿田氏は解説します。

  さらに、日米外交には、米国の政府関係者の多くが日本や沖縄のことを知らないという問題があることも猿田氏は指摘します。「『沖縄県の総人口は2千人ほどですか?』と聞かれたこともあります。日本側が米側に何も伝えていないこと、そして米国側が沖縄問題に情報も関心も持っていないことの表れです」

 

沖縄の声を直接アメリカに伝える「新しい外交」、始まる 

  「これに対抗するためにアメリカへの働きかけを行ってきました」と続ける猿田氏。

  2015年5月には、翁長沖縄県知事を中心とした訪米団が、問題解決の糸口を見つけようと、アメリカ議員などとの直接対話を展開しました。財政問題を専門とする議員には沖縄に基地を置くことによる財政負担を、環境問題に取り組む政治家へは辺野古基地建設による環境破壊を、人権問題に取り組む議員には米兵による暴行事件などを訴えるなどの活動に取り組みました。

  「この新たな外交によって、米国防権限法に書かれていた『辺野古が唯一』という条文を削除するという具体的な成果も上がっています」と猿田氏は話します。シンクタンクやNGO、市民団体など、さまざまなチャンネルからのアプローチが、情報を共有し、相互に理解しあう関係づくりにつながっていく手ごたえを話しました。

  「『ワシントンに沖縄の声を伝える活動』は費用対効果と時間対効果が高く、その積み重ねが、長く続く沖縄基地問題の根本的な解決につながっていきます。」と、シンクタンク「新外交イニシアティブ」の活動への支援を呼びかけ、猿田氏の講演は終わりました。

 

  閉会のあいさつに立ったパルシステム東京・松野玲子常任理事は、「安心・安全な生活は平和でなければ実現できません。猿田先生のお話で、日本外交の手法を知り、それを許しているのは私たち国民だと感じました。一方で、柔軟なアプローチが始まっていることも知りました。新たな成果が生まれることを期待します」と話し、第3回連続平和学習会を締めくくりました。

 

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