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平和

連続平和学習会(第1回)の開催報告 | 集団的自衛権から憲法を考える ~日本は戦争をするのか~

2015年05月25日

パルシステム東京は、創設以来、平和活動を「理念」*1・「ビジョン」*2にかかげ、組合員とともに被爆・戦争体験の継承をはじめ、核兵器廃絶活動や難民支援など幅広い平和活動に取り組んできました。学習会の開催も平和活動のひとつです。

今年度の第1回「平和学習会」は、日本国憲法を考えるうえで必要となっている集団的自衛権についての最新情勢を学ぶ学習会。講師に東京新聞論説兼編集委員で、1992年から防衛省づき記者を担当している半田  滋氏を迎え、4月22日水曜日に新宿本部で開かれました。

「子どもたちに、安心して過ごせる社会を手渡すために、まずは理解することが大事。憲法や集団的自衛権を子どもたちに説明できるようになるために、いっしょに学びましょう」との岡本理事の挨拶で学習会は始まりました。

 

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集団的自衛権を行使容認すると自衛隊の活動範囲は拡大する

歴代の自民党内閣は、自衛隊の活動を憲法9条の枠組みの中に限定するという考えでいたこともあり、自衛隊は国内外の人助けに限り活動してきました。災害救助やインフラ整備などでさまざまな経験を重ねた自衛隊は、高い技術をもつようになり、PKO活動の現場などでも「武力行使をしない支援」として高い評価を受けてきています。

周辺環境の悪化に合わせ安保法制を変えなければと主張する安倍政権は、そういった自衛隊の活動範囲が広げようとしています。しかし、防衛庁や軍事専門家の見解では、今、とくに緊急を要する事態ではないという意見もあります。

また、安保法制を改定し、自衛隊がいつでもどこでも武力行使できるようにすることが、抑止効果になるとはいえません。反対に、米軍の後方支援をするようになると、自衛隊の危険度は格段にあがるし日本がテロの標的になる危険度も高まります。安倍政権は、そういった自衛隊の活動範囲が拡大するマイナス情報を説明していません。国民への説明や国会審議を軽視するやり方は、民主主義、立憲主義に反するものです。

 

安倍政権が抱いている日本の姿とは

自民党と公明党は、着々と関連法案の見直しの合意を重ね、今国会で11本もの安保関連法案を通そうとしています。それにより海外で自衛隊の活動できる範囲を拡大し、よりアメリカの戦争をお手伝いできる状況を作ろうとしているのです。

こうなっていった背景のひとつは、小選挙区制にあります。実際にはたくさんの人が野党に投票していても、選挙区で一番票の多かった人、自民党だけが議席を得られるという仕組みです。また官僚指導も背景のひとつです。中でも外務省は、他の国々と同じような軍隊をもつべきだと長年考え続けていて、その理想を今実現させようとしているのです。

そもそもこの流れは、第1次安倍内閣で「教育基本法」が改正されたことから始まっています。教育の目標に「国を愛する態度を養う」を加えた改正です。そして、「国民投票法」。これは、憲法改正をするために不可欠と憲法で規定されている国民投票の大枠を決めたものです。ここまで成立させた後、第1次安倍政権は終わったのですが、その後、安倍さんは、共著『この国を守る決意』で、「日本は今まで、同盟を結んでいるにもかかわらず、血を流してこなかった。そんな関係は同盟とはいえない」と書いています。

そういう考えのもと、今回の内閣で集団的自衛権の行使容認の論議が進められているのです。その論議の過程では、さまざまな事例が想定されています。たとえば、「邦人を輸送している米海軍輸送艦を防衛する場合はどうか」などです。しかし、そもそも米軍は米国民でも一般の市民を輸送するということはありえません。ありえないシチュエーションを検討することで、集団的自衛権行使容認を議論したといえるのでしょうか。

 

政権の最終章での憲法改正をめざす安倍首相

今国会に提出された安全保障に関する11の法案とは、まず、自衛隊は世界の平和と安定を目的に、国連決議に基づき他国軍の戦闘を支援できると明文化した新しい法律「国際平和支援法」です。この法律には自衛隊の派遣には国会の事前承認を基本とするとされていますが、どこまで審議できるでしょう。

また、すでに施行されている10の法律の改正案も提出されます。たとえば、戦闘が終わった地域のインフラの整備に限ると決めいていた「PKO協力法」を、治安維持までできるように改正する案。実現すると自衛隊の危険度は今まで以上に高まります。また、日本の安全確保のため日本周辺での多国軍の戦闘を支援すると定めた「周辺事態法」を世界のどこでも支援できるようにする、などの改正案です。

安倍首相は、「これらの法整備により日本の防衛から国際支援まで切れ目のない防衛が可能になる」と言っています。こうやって自衛隊の活動範囲は拡大し、名実ともに戦争をする軍隊へと変身。そして憲法9条を有名無実なものにしようとしています。そして、今政権の最終段階で憲法を改正するという青写真を描いているようです。

 

このまま戦争できる国になっていいのでしょうか

自衛隊の活動のうち、海外での活動が本来の仕事になると、資金が絶対的に足りなくなり、増税が提案されるでしょう。

また、隊員不足もすぐに表面化するはずです。格差社会の中、年間収入が最低賃金以下という若者にとっては、収入も衣食住も保障されている自衛隊は魅力的に見えます。現在の隊員にもそういう人が少なくありません。しかし、戦争のできる自衛隊になり隊員が死亡するという事実を突きつけられたとき、彼らが同じ選択をとるでしょうか。今以上に隊員が不足すると、徴兵制の検討へと向かっていくのです。

「イラク戦争に派遣された隊員にPTSDになった人はいるのか」と自衛隊に質問したら、「調べていません」という返事でした。陸上自衛隊での私の取材の中で、イラク戦争に派遣された隊員の帰国後の自殺率が通常よりはるかに多かったという情報を得ているにもかかわらず、です。それだけ防衛省も政府も、派遣される隊員への責任を果たしていません。そんな国家が、集団的自衛権行使について語る資格があるのかと思ってしまいます。

しかも、今後はイラク戦争より一段上のステージで戦争に協力することになります。だからこそ、国会はイラク戦争をきちんと検証しなければならないのです。友達づきあいのレベルで国際政治を考えることは危険です。そういう危うさを、安倍政権や国会から感じられるのです。

――このように、国民に正しい情報を与えずに、憲法9条を骨抜きにしてしまおうとする安倍政権の怖さを話す半田氏。終わりの挨拶に立った福浦理事が「私たちは、政府の思惑を見抜き、一人ひとりが考えられる市民になることが必要」と締めくくり、第1回平和学習会は終わりました。

 

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会場をほぼ満員にした参加者は、すでに憲法改正への流れは始まっていることを再認識

 

半田氏の解説のあと、「閣議ではきちんと審議されているのか?」「現代若者が隊員の自衛隊に、日本を守れると思いますか?」の質問や、「日本が戦争に参加する時代がすぐそばまで来ていると実感した」の意見など、参加者から貴重な発言もありました。

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