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平和

2012年度平和カンパ活動報告~シャプラニール=市民による海外協力の会~

2013年06月05日

特定非営利活動法人
シャプラニール=市民による海外協力の会

1.事業名

家事使用人として働く少女支援活動(バングラデシュ 首都ダッカ)

 

2.事業の目的

本事業の目的はバングラデシュの首都ダッカにおいて、家事使用人として働く少女たちが心身ともに健康に成長し、自信をもってより良い将来を描けるようになる環境を作り出すことにある。また、少女の保護者を含む地域住民が「子どもの権利」、とりわけ児童労働に関する意識を高めることで、家事使用人として働く少女が減少することを目的としている。

 

3.本事業の背景と少女支援の実際

シャプラニールは2000年よりバングラデシュの首都ダッカにおいて、ストリートチルドレン支援活動を行ってきた。ストリートチルドレンはダッカ市内だけでも33万人に上ると言われているが、6年間の支援活動を通じて明らかになったことは「女子への支援」の手薄さであった。

実際にバザールや路上で働く児童には男子が多く女子は少ない傾向が見られる。また、実際に支援を受けた児童数も、男子に比較すると女子は少なかったのである。その要因を探るために行った2005年の調査では、少女たちは家事使用人として、個人の家庭内で非常に安い賃金で、あるいは無休での長時間労働を強いられていることが明らかになった。彼女等が働く個人の家庭には外部の監視がほとんど届かない。こうした状況の中で、他の子どもと遊ぶ時間や学習の機会も奪われ、雇い主による性的な虐待の被害に合うケースもあったのである。

シャプラニールは、調査を共同で実施した現地NGOのPhulki(フルキ、ベンガル語で「きらめき」という意味)をパートナー団体として、ダッカ市内4カ所に支援センターを設置し、家事労働に従事する少女への支援を開始した。ここでは1日1回/午後2時間のクラスを週5回実施し、その中で①インフォーマル教育として簡単な読み書き計算や自分たちの生活に関する保健衛生について学ぶ機会の提供、②身の周りを清潔に保ち病気を防ぐための衛生教育の実施、③少女たち同士が楽しむレクリエーションの実施、そして④アイロンかけや刺しゅう、ミシンを使用した縫製や手工芸品の作成、さらに料理などの訓練を行った。

センターを利用した15歳の少女は、「4年前に家計を助けるためにダッカのおばさんの家にきました。最初学校に通わせてもらえましたが、先生は怒るばかりで勉強についていけず、半年で学校をやめました。ある日Phulkiの人が家にやって来てセンターに通うことになりました。お裁縫や家事が上手になったのでお給料は400タカから1,000タカにあがりました。でも今はもう働いていません。センターで勉強を教わったおかげで小学校4年生に編入でき、おばさんの家から学校に通えることになったからです。試験でも3位の成績が取れるようになり、とても嬉しいです」と自らの前向きな変化を述べている(2012年10月号シャプラニール会報「南の風255号」より)。

支援センターで家事訓練を受けた少女たちの多くは、家事技術の向上を通じて自信を持ち、行動も変化してきた。このことが少女と雇い主との良好な関係を構築したケースや、少女に対して厳しく接していた雇い主の態度を変容させるという成果に結びついた。

 

4.バングラデシュ社会への働きかけ

家事使用人として働く少女たちの問題は、単に少女と雇い主の間の問題だけではない。問題の背景には社会的な問題、すなわち行政の機能不全や子どもの人権を監視するシステムの不在等もある。さらにこの問題の最大の要因として考えられることは、子どもが家事使用人として働くことを容認する文化ではないかということである。

そのため、問題の解決には個々の雇い主だけでなく、バングラデシュの人々が家事使用人として働く少女についての問題意識をもち、それが社会に浸透することが不可欠であろう。課題解決の糸口は「身近な人々の意識を変えること」「少女のおかれた状況を理解してくれる人を探し、こうした人々の輪を広げること」からスタートすると言える。

シャプラニールと協働で本事業を実施するPhulkiは、少女に対する働きかけと並行して地域住民の本事業に対する理解度及び関与度を高めることに注力してきた。その結果、本事業に関心を持つ人々を特定することができ、今後少女たちを支援する仕組みを地域レベルで構築する基盤を作りつつある。近い将来には、地域住民への啓発活動の一環として、支援センターを利用した少女たちの作品展示会も企画されており、さらに多くの人々への啓発が可能になると考えられる。

 

5.今後の課題

家事使用人として働く少女の問題とその解決策を、将来にわたって住民主体の継続的な活動として展開するためには、いかなる方法があるのか。現在シャプラニールとPhulkiはその一つの試みとして、支援センターの運営を地域住民に任せることを考えている。

しかし上述のように子どもが家事使用人として働くことを容認する文化がある中で、現状では家事使用人の問題に関心を持つ人々は少ない。こうした中で地域住民が将来の展望を持ち、支援センターの運営を主体的な活動として展開できるようになるには、長期的で地道な働きかけや、地域の実情に合わせた戦略を綿密に練ることが必要であろう。今後シャプラニールとPhulkiとのパートナーシップをどのように活かし、問題の克服に結びつけていくかが大きな課題である。

シャプラニール1 シャプラニール2
(写真左)支援センターの活動風景(音楽)          (写真右)洗濯する家事使用人として働く少女

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