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平和

ミャンマー・サイクロン被災者支援カンパ使途報告~日本ユニセフ協会~

2009年12月28日

平和カンパ使途報告
~『ミャンマー・サイクロン緊急募金』成果報告-復興に向けて~

ユニセフ・ミャンマー事務所は、サイクロン「ナルギス」の災害に対する緊急援助活動をご支援くださったすべてのご支援者に対し心からの感謝の意を表します。

皆様からの資金によって、被災地でもっとも支援を必要とし、もっとも危険にさらされていた子どもたちとその家族を支援することができました。また、ご支援により新しい活動の実施が可能になり、それによってユニセフのミャンマーにおける緊急援助活動の効率性や管理体制の向上にもつながりました。

しかし、まだまだやらなければならないことが山積みしています。いまだナルギスが残した爪跡が残るミャンマーの子どもたちのために、ユニセフは現在も支援活動を続けています。

「ミャンマーサイクロン緊急募金」は2009 年10 月31 日をもって受付を終了し、皆様のご協力によって、ミャンマー事務所に送金できた額は743 万ドル(7 億6,500 万円)にのぼりました。

皆様の温かいご支援に心から御礼申し上げます。

サイクロン被災地でのユニセフの活動場所

ユニセフの活動場所

復興支援活動

2008年5月2日から3日にかけてミャンマーを襲い、サイクロン「ナルギス(Nargis)」は甚大な被害をもたらしました。
被災者約240万人以上、その4割近くが子どもたちと推定され、その規模の大きさと地理的条件の厳しさから支援活動は難しいものとなりました。ナルギスが残した深い爪跡が残るミャンマーの子どもたちのために、ユニセフは現在も支援活動を続けています。

サイクロンで跡形もなくなった小学校
©UNICEF/Myanmar /2008/Naing
サイクロンで跡形もなくなった小学校

仮設のテント学校から駆け出す子どもたち
©UNICEF/Myanmar /2008/Thame
仮設のテント学校から駆け出す子どもたち

以前より良い環境を創る

ヤンゴン管区にあるシット・カヤル・コーン学校は、「よりより学校再建」イニシアティブのもとで再建されている他の8校と同様、図書室、校庭、校庭の外壁、職員室が整備されています。すべての学校に、清潔な水飲み場やトイレが設置され、障害のある子どもたちも容易にアクセスできるような配慮がなされています。
この新しい学校は、ミャンマーの伝統的な建築様式に基づきながら、現地で調達可能な材料を利用して、暑さや騒音を軽減する新しい技術も導入されています。また、今後起こり得る災害に備え、コミュニティの緊急避難所として利用できるようにもデザインされ、サイクロンや地震にも十分に耐えうるよう設計されました。ユニセフは、2010年末までに、こうしたモデル校を37校建設する予定です。
最も悲惨な災害のひとつとも言われたサイクロン「ナルギス」がもたらした甚大な被害。村の人びとに残されたのは、子どもたちの教育への「希望」だけでした。修道院の臨時教室で授業が再開されると、ユニセフ・ミャンマー事務所は、授業をより活発にするための学校教材、教科書、学校用具を積極的に提供しました。

「コミュニティも私も、学校施設を維持し、学校を安全に保つために細心の注意を払います」学校建設のために自らの土地を申し出た、村の修道院長バッダンダ・サンダウバスさんは話します。

ユニセフから提供された通学かばんを背負って帰宅する子どもたち
©UNICEF/Myanmar /2008/Holmes
ユニセフから提供された通学かばんを背負って帰宅する子どもたち

サイクロンによって、多くの人びとの生活が崩壊しました。学校の再建作業は、こうした人びとが仕事を得る貴重な機会も与えています。「一日2,500―3,000 チャット稼ぐことができます。」村人のウ・キャウ・モエさんは話します。「サイクロンで、野菜畑を失いました。節約して、学校建設の仕事で得た収入で、早く元の生活に戻りたいです。8年生になる娘のように、優秀な子どもたちを多く生み出す学校の建設を手伝えてとても光栄です」。
村の住人たちは、学校建設に積極的に参加しています。学校建設がおこなわれている地域では、教師や保護者、そしてコミュニティの住人が、学校建設に関わる人びとのために、食事や宿泊場所を提供しています。
ミャンマーのデルタ地域を中心に襲ったサイクロン「ナルギス」への緊急支援の一環として、ユニセフは、被災した2,740校の60パーセント近くに、学校用具、教育用教材、学習用教材、遊び 場づくりのための資材などを提供しました。これにより、41万人の小学校の子どもたちが恩恵を受けました。この支援により、学校閉鎖の期間は最小限に抑えられ、31万5,000人の子どもたちが小学校に再び通うことができるようになりました。
ユニセフはまた、「より良い学校再建」イニシアティブの一環として、教員4,500名に、子どもを主人公にした新たな教育アプローチの研修も実施しています。
ユニセフの復興支援活動は順調に進んでいます。しかし、ミャンマーの子どもたちが抱える問題の長期的な解決をもたらすためには、引き続き、息の長い地道な活動が求められています。

文房具などの入った通学かばんを受け取る子どもたち
©UNICEF/Myanmar /2008/Thame
文房具などの入った通学かばんを受け取る子どもたち

保健、HIV/エイズ分野での成果

■ 90%の子どもたちにはしかの予防接種を実施し、被災したすべての地域で定期予防接種普及率を80%達成

■ 被災した子どもと女性の80%が、妊産婦と新生児のための緊急かつ予防的・治療的サービスを受けることができた(HIVを含む)

■ コレラ、マラリア、デング熱などの伝染病の発生を抑え込むことができた

■ 80%の基礎保健施設が活動を再開し、妊産婦および新生児・子どもの保健サービスが復興した

災害後、最小限の時間で定期予防接種の再開にこぎつけました
©UNICEF/Myanmar /2008/Myo Thame
災害後、最小限の時間で定期予防接種の再開にこきつけました

栄養分野での成果

■ 子どもの栄養状況についての包括的な情報が利用可能になり、それをもとに対応が考えられた

■ 被災した37地域の子どもと授乳中の母親が、微少栄養素不良から守られた。少なくとも対象者の90%がビタミンAの投与を受け、少なくとも60%が、マルチ微少栄養素とビタミンB1の補給を受けることができた

■ 乳児と幼児に対する適切な栄養補給(母乳育児や離乳食、食事)方法が促進された

■ 生後6~59ヶ月の子どもおよび妊娠中・授乳中の女性の54%が、栄養状態の悪化を防ぎ、乳児の栄養を守るため、栄養補助食の提供を受けた

■ 深刻な急性栄養不良と診断された生後6~59ヶ月の子どもの50%が、標準的な治療を受けることができた

ヤンゴン・インセイン地区の地域保健センターでビタミンAの投与を受ける赤ちゃん
©UNICEF/Myanmar /2008/Myo Thame
ヤンゴン・インセイン地区の地域保健センターで
ビタミンAの投与を受ける赤ちゃん

水と衛生分野での成果

■ 被災した25万人の人びとが、安全な飲み水を1日ひとりあたり3リットル、また、体を洗ったり、炊事や掃除に使ったりする清潔な水を1日ひとりあたり10リットル、それぞれ手に入れられるようになった

■ 被災した7郡区の55万人の人びとが、衛生促進のためのメッセージや活動に接し、水に起因する病気や、不十分なし尿処理に起因する病気の予防が推進された

■ 2万世帯、500校および仮設住居に衛生的なトイレと清潔な環境が提供された

ミア・サ・ング村のダウ・パウクさん。ユニセフから提供された水がめに水をそそぐ
©UNICEF/Myanmar /2009/Khin Zaw
ミア・サ・ング村のダウ・パウクさん。
ユニセフから提供された水がめに水をそそぐ

教育分野での成果

■ ユニセフは、被災した小学校2740校を支援し、その結果、およそ410330人の小学校の児童が学校に戻った

■ 923箇所の仮設の安全な学び場が設けられ(192張のテント、731棟の仮設建造物をユニセフが提供)、崩壊したりひどい被害を受けたりした800校の代替として活用された。学び場には清潔なトイレもつくられた

■ 965校が修復され、ユニセフからPTAを通じて屋根用シートが提供された

■ 2325校が、学習環境を復元し改善するために、机やテーブル、いすや黒板などの基本的な備品の提供を受けた

■ 被災した17郡区の小学校2300校以上が、ユニセフから教材を受け取った
これには2322セットの学校キット、1845セットのレクリエーションキット、1100箱の図書館(箱に本がセットされている)、ライフ・スキルに関する教科書15万3313冊、小学校の教科書20万冊以上が含まれる

■ 被災した700人の教員が自身の家の修理のための屋根用のシートを受け取った。また1万セットの教員用キットが配布された

■ 5歳未満の子ども約1万人が、幼児発達ケアセンターでのケアを受けることができ、また2754人の若者が学校外教育を受けた

■ 小学校の教員2430人が“子どもにやさしい学校”アプローチと子ども中心の教授法について研修を受けた。さらにこの教員たちには、約13万6000人の子どもたちへの心理的なサポートのための支援もおこなわれ、『サイクロンから生徒たちが立ち直る手助けをするために・・教員のためのヒント』と名づけられたハンドブックが配布された

■ 「以前よりも良くなる再建」のモデル学校9校が建設され、10校が建設中、さらに18校の建設が2010年までに完了する予定。ユニセフは、この37校を子どもにやさしいモデル学校として建設を支援している

仮設学校でライフ・スキルを学ぶ3年生の子どもたち
©UNICEF/Myanmar /2008/JimHolmes
ヤンゴン・カウム郡区・シット・カヤル・コーン村の仮設学校でライフ・スキル
を学ぶ3年生の子どもたち。この村の小学校はサイクロンにより完全に
破壊された。ユニセフはこの村のモデル学校の再建を進めている

子どもの保護分野での成果

■ 緊急支援は子どもの保護に関して広範囲にわたる意味合いを持ち、活動の結果、子どもの保護に関する対策活動や地理的な活動範囲の拡大をもたらした

■ ユニセフは、初めて「緊急事態下の子どもたちの保護に関する国家行動計画」を策定する政府のサポートに中心的な役割を果たした。これは、長期にわたる適切な対応、改善された制作による子どもの保護のシステム、および緊急事態下での子どもの保護に関する能力強化などを目的としている

■ ユニセフと事業の実施パートナーは、家族とはぐれたり、ひとりぼっちになったりした子どもたち1396人を保護・登録し、支援をおこなった

■ 2009年4月時点で、家族の捜索や家族との再会支援策により、575人の子どもたちが両親のどちらか、もしくは家族の誰かのもとに帰ることができた

■ 子どもの一時的なケア施設は定期的にモニターされた。教育的な支援(制服、文具や学校への交通などを含む)や、保健面での支援(医療機関との連携)がおこなわれた

■ コミュニティが運営する”子どもにやさしい空間”135箇所が、訓練を受けたNGOスタッフの監督のもとに設置され、これらを通じて29300人の子どもたち(女子15100人、男子14200人)が、心理的なケアや支援を受けることができた。子どもにやさしい空間では、レクリエーションや学習活動もおこなわれ、身体的・福祉的支援の必要な子どもたちはこれらの施設を通じてサービスを受けることができた

■ ユニセフはNGOや国連、政府などからの300名以上のスタッフに対して、緊急時の子どもの保護に関する様々なトレーニングを実施した。加えて、ユニセフとNGO(事業の実施パートナー)の600人のスタッフは、性的虐待と搾取の防止に関する行動倫理規範に署名した

■ ユニセフのアドボカシー活動の結果、社会福祉局は9月末に、コミュニティレベルで子どもの保護に関するサービス提供を強化するために、5郡区で5人のソーシャルワーカーを任命した

■ 子どもたちの家族の捜索と再会プログラムを進めるために、ユニセフはNGOと協力して国レベルのインフォメーションセンターを開設し、各機関間をよりうまく調整し、必要な情報が共有されるようにした。また、ユニセフは、ラプッタに地方レベルのインフォメーションセンターも開設した

フォトギャラリー~支援の現場から~

子どもにやさしい空間にある「箱の中の学校」型図書室の物語本を読む男の子
©UNICEF/Myanmar/2008/Jim Homes
子どもにやさしい空間にある「箱の中の学校」型図書室の物語本を
読む男の子。
ユニセフはサイクロン後、子どもにやさしい空間を343ヶ所設け、子どもたちへの心理的、余暇的、栄養的な支援を行う中心的な役割を担いました。パ・ウェイン村の子どもにやさしい空間は、日中、5歳未満の子どものデーケアセンターにもなりました。

仮設保健クリニック
©UNICEF/Myanmar /2008/Myo Thame
ユニセフの支援する仮設保健クリニック(エーヤワーディ地域ラブッタ郡区)

生後10ヶ月の息子とともにクリニックを訪れたお母さん
©UNICEF/Myanmar /2008/Jim Holmes
生後10ヶ月の息子とともにクリニックを訪れたお母さん
子どもは深刻な栄養不良で、母親は、子どもに与える一週間分の
栄養強化ビスケットをもらいました
パプッタローク・タウン村

助産師の家庭訪問で診察を受ける19歳の妊婦
©UNICEF/Myanmar /2009/Sandar Linn
助産師の家庭訪問で診察を受ける19歳の妊婦。
マウギュン郡区
この村の保健センターはサイクロンで破壊され、ユニセフが再建を支援しました

カウム村の幼児発達ケアセンター
©UNICEF/Myanmar/2008/JimHolmes
カウム村の幼児発達ケアセンターに集まるコミュニティの住人たち
おもちゃになりそうな素材を使いながら、住民自らが子どもたちの
ケアに携わっています

大きな陶製の瓶(水がめ)を運ぶ大型船
©UNICEF/Myanmar/2009/KhinZaw
家庭で水を貯えておくための大きな陶製の瓶(水がめ)を運ぶ大型船と、荷を積み替えるボートの列。水がめは環境に優しく、60ガロン(約250リットル)の容量があります。もともと各家庭で伝統的な水がめが使われていましたが、サイクロンで壊滅状態になりました。ユニセフは現地NGO と連携をして、各世帯に水がめを提供しました。水がめはボートで各村へ運ばれてゆきました

家庭用衛生キットを運ぶ村人たち
©UNICEF/Myanmar/2008/Jim Holmes
家庭用衛生キットを運ぶ村人たち
ウェ・チャウン村

雨水を貯めておく設備
©UNICEF/Myanmar/2008/MyoThame
地元で調達可能な素材を使ってつくられた雨水を貯めておく設備
ラプッタ郡区

子どもにやさしいモデル学校
©UNICEF/Myanmar/2009/MyoThame
クゥイン・キャ・タウ村で建設が進む子どもにやさしいモデル学校

学校の予想図を見る子どもたち
©UNICEF/Myanmar/2009/WinNaing
学校の建設現場で、これからできあがる学校の予想図を見る子どもたち
キャウン・ゴーン郡区

子どもにやさしい空間から外をのぞく子どもたち
©UNICEF/Myanmar/2008/JimHolmes
パ・ウェイン村の子どもにやさしい空間から外をのぞく子どもたち
ユニセフの支援により、コミュニティが運営する”子どもにやさしい空間(CFS)”が135箇所設置されました。CFS では、トレーニングを受けたNGOのスタッフのもとで、3万人近くの子どもたちが、
レクリエーション活動や学習活動に参加しました

刺繍や色とりどりのハンモックの編み方を学ぶ少女たち
©UNICEF/Myanmar/2008/AngelaTaung
子どもにやさしい空間は、学校に行けない子どもたちにも
職業訓練の場を提供しました
サンピャ村の”子どもにやさしい空間”で、刺繍や色とりどりの
ハンモックの編み方を学ぶ少女たち

謝 辞

ユニセフ・ミャンマー事務所は、サイクロン「ナルギス」の災害に対する緊急援助活動をご支援くださったすべてのご支援者に対し心からの感謝の意を表します。
皆様からの資金によって、被災地でもっとも支援を必要とし、もっとも危険にさらされていた子どもたちとその家族を支援することができました。また、ご支援により新しい活動の実施が可能になり、それによってユニセフのミャンマーにおける緊急援助活動の効率性や管理体制の向上にもつながりました。
心からありがとうございます。


©UNICEF/Myanmar/2008/Win Naing

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