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生協からのお知らせ

「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針改定(案)」に対する意見書を提出しました。

2015年08月07日

8月7日(金)、パルシステム東京は、復興庁が意見募集した「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針改定(案)」に対し、以下の3つの点からパブリックコメントを提出しました。

  • 避難するかしないかの状況判断と選択は被災者自身が行うということが、支援法の根幹
  • 国の責任において、避難者への住宅支援を継続すべき
  • 法第13条第2項第3項を実現し、福島県外でも検診や医療費の減免を行うべき

pdf意見書


 

2015年8月7日

「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針改定(案)」に対する意見

生活協同組合パルシステム東京

理事長   野々山  理恵子

 

 私たちパルシステム東京は、『「食べもの」「地球環境」「人」を大切にした「社会」をつくります』を理念として掲げ、2011年3月11日の東日本大震災と、それに続く東京電力福島第一原子力発電所の事故発生以来、生活協同組合の理念に基づき、協同の力で様々な復興支援活動に取り組んできました。

 以下の3つの点から今回の改訂について意見を述べます。

 

【避難するかしないかの状況判断と選択は被災者自身が行うということが、支援法の根幹です。】 

 今回の改定案では、放射線量が低減したとして、「空間放射線量等からは、避難指示区域以外から避難する状況にはなく、支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当」「当面、放射線量の低減にかかわらず、支援対象地域の縮小又は撤廃はしないこととする」とした上で、福島県による自主的避難者への無償住宅提供の打ち切り方針を追認しています。

 しかし、その根拠は不明な点が多い上、このような改定は、「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」「避難・居住・帰還という被災者の選択を国が支援する」「健康被害の未然防止」「一定の線量以上の地域を支援対象地域とする」「被災者の意見を基本方針に反映させる」といった「子ども・被災者支援法」の基本的な理念や規定を無視し、結果として多くの自主避難者を切り捨てるものです。

 そもそも「子ども・被災者支援法」の中で、「支援対象地域」は、「年20ミリシーベルト(以下、mSv)には達していないが、一定の線量以上の地域」と定義されています。復興庁、原子力規制庁は、この「一定の線量」を示さず、年20mSvを下回っていることをもって避難の必要がないとしています。これは、自主的避難者に対しても、国が責任を持って適切な支援を行うとした子ども・被災者支援法の趣旨に反します。

 原子力規制委員会の平成25年11月20日付文書「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」では、「国は、帰還の選択をするか否かに関わらず、個人の選択を尊重しなければならない」「避難指示区域外に居住する住民や自主的に避難している住民も、避難指示に基づいて避難している住民と同様に(中略)対応を講じることが必要である」としています。6月25日付の原子力規制庁の文書は、当該文書と矛盾しています。 ICRP(国際放射防御委員会)の勧告では、長期目標はあくまでも「“被ばくを通常と考えられるレベルに近いかあるいは同等のレベルまで引き下げること”」としており、参考レベルの代表的な値を年1mSvとしています。

 復興庁は、個人被ばく線量の測定値を持ち出し、「支援対象地域内での実施12市町村の直近の各平均は、既に年間1mSv以下」としていますが、個人被ばく線量の最大値は、二本松市で最大5.22mSv/年、須賀川市で最大1.86mSv/年と決して低くはありません。今回の見直しでは、国際勧告や国内の法令に基づく公衆の被ばく限度が年1mSvであることに鑑み、「子ども・被災者支援法」の理念に則り「一定の線量」を年1mSvとし、福島県全域および汚染状況重点調査地域を支援対象地域とすべきです。

 

【国の責任において、避難者への住宅支援を継続すべきです。】

 改定案では、福島県が、避難指示区域以外からの避難者に対する応急仮設住宅の供与期間を「平成29年3月末まで」としていることを記述し、「空間放射線量が大幅に低減していること等とも整合的」としています。一方で、国としての施策については触れていません。

 前述の通り、避難指示区域外にも年間1mSv以上の汚染が広がり、放射線管理区域レベルの汚染を示している場所も少なくないこと、多くの人たちが避難の継続を希望しており、避難先での生活再建のために、住宅支援は必要であることを考えれば、国の責任において、避難指示区域外からの避難者への住宅支援の継続を行うべきです。

 自主避難者は、政府による避難指示区域外から避難したということで「自主」と呼ばれていますが、実際自ら望んでわざわざ避難生活を選んだ者はいません。放射能による健康被害に不安を持ち、避難生活を選択せざるを得なかったという点では、避難指示区域からの避難者と本来変わるものではありません。そして、自主避難者の多くは、災害救助法に基づく無償住宅の提供を各自治体から受けて生活しています。その正確な数は公式には発表されていませんが、福島市、郡山市、いわき市などから約21,000人が、また既に避難指示が解除されている旧避難指示区域・旧緊急時避難準備区域からの約20,000人が、現在も避難を続けているとされています。東京都内にも2015年4月16日現在、7,424人の避難者がいるとされていますが(復興庁調べ)、この中にも数多く自主避難者がおり、災害救助法に基づく無償住宅の提供を受けています。

 避難者の中には、仕事を失った者、子どもを転校させた者、家族が別れて生活している者などが多数います。その精神的・経済的負担は測りしれません。しかしながら、東京電力による賠償額は不十分であり、生活費増加分や交通費すら十分に支払われていないのが現状です。その中で自治体から無償で提供されている住宅は、避難生活を続けるための重要な支えとなっています。今後、「自主」避難者とされる人々が避難生活の継続を選択すれば、たちまち経済的困窮に立たされる可能性が高く、このような事態を招くことは絶対にあってはなりません。

 

【法第13条第2項第3項を実現し、福島県外でも検診や医療費の減免を行うべきです。】

 今回の改定案では、環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間とりまとめを引用し、「今般の原発事故におる放射線被ばく線量に鑑みて福島県および福島近隣県において、がんの罹患率に統計的有意差をもって変化が検出できる可能性は低いと考えられる」と記載しています。

 一方、福島県による調査(第19 回福島県「県民健康調査」検討委員会/平成27年5月18日開催)では、甲状腺がん悪性と診断された子どもは、悪性の疑いも含め126人です(うち確定が103人)。その多くが、リンパ節転移や浸潤などを伴っています。昨年4月にはじまった2回目の検査では、1回目の検査のときに問題なしとされた子どもたちのうち15人が甲状腺がんないし疑いと診断されました。また、甲状腺がん以外の疾病については、調査が行われておらず、全体像が把握されていません。

 さらに、5月18日に福島県で開催された福島県健康調査検討委員会の席上で、甲状腺評価部会が「わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がん罹患統計などから推定される有病率に比べて数十倍のオーダーで多い」とする中間とりまとめを提出しています。

 甲状腺がんの多発が確認された以上、年1mSvを超える福島県外での地域における健診や医療費減免も、国の責任で実施すべきです。健康調査は、発災当時に被ばくしたことにより将来の健康について懸念しているために求めているものです。その後に空間放射線量が低減したとしても不安は解消しないことから、法の目的である「被災者の不安の解消及び安定した生活の実施に寄与すること」に則り、『福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の充実』に「福島近隣県並びに汚染状況重点調査地域の住民」を対象に加えるべきです。

以上

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