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生協からのお知らせ

「自然エネルギーと市民電力の発展を考えるシンポジウム」を開催(パルシステム東京共催企画)

2014年11月17日

2016年に予定される電力の小売自由化で、市民も電力を選べる時代がやってきます。第一次産業による自然エネルギー(再生可能エネルギー)事業と、生産者と消費者の連携による「電力の共同購入」の可能性を考えるシンポジウムが開催されました。

 

「自然エネルギーと市民電力の発展を考えるシンポジウム」

主催:世田谷新電力研究会・一般社団法人フードトラストプロジェクト

共催:パルシステム東京・パルシステム連合会

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(10月24日、パルシステム東京新宿本部にて)

 

第一部

「デンマークロラン島・ドイツハンブルグスタディツアー報告」から

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徳江倫明・世田谷新電力研究会

一般社団フードトラストプロジェクト代表

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2014年6月、市民電力と農業・地域づくりを学ぶスタディツアーを実施しました。デンマークとドイツは自然エネルギーと市民電力事業の先進国。特にデンマークは日本と同じように化石燃料などのエネルギー資源がない国ですが、1970年代にわずか2%だった電力の自給率が2010年には121%になりました。

なかでもデンマーク最南端にあるロラン島は、島で使う電力の6倍を、風力やバイオマスなど自然エネルギーで発電しています。発電事業の半分以上が地元の農業者が協同組合方式等で行い、今や発電収入は農産物販売収入を超え始めています。

なぜ、このような発展を遂げたかについては、以下の要因があげられます。

①     エネルギー政策について市民レベルの関心が高い

1970年代から80年代にかけてのオイルショック、スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故をへて、どのようなエネルギーを使ってどのような社会を望むのか国民的な関心が高まった。その議論を深めるために行政や企業などから、原子力発電のメリットデメリットや自然エネルギーについての情報が幅広く公開された。

②     再エネを推進する政策

原発を望まない市民意識を反映し、1985年には国として原発のないエネルギープランを策定。固定価格買取制度(FIT)を整えて、自然エネルギーを推進する体制を作った。さらに、風力発電については「風は地域の貴重な資源」と位置づけ、地元の人が優先的に投資できる法整備を行い投資目的だけの建設を防いだ。

③     協同組合の伝統

日本の生協と同じように、協力し合ってよりよい地域や環境づくりをしたいという、市民の協同組合運動の伝統がある。

 

農業や林業など一次産業とエネルギー事業のコラボを

農業は水と風と土(気候風土)の力を借り、太陽エネルギーで植物を育て、人や生きもののエネルギー源を創り出す産業です。農産物の生産は適地適作が大前提ですが、エネルギー生産も同じ。小水力、風力、バイオマス、太陽熱など、風土の特質に合った発電事業が成り立つことを、ロラン島の例は証明しています。

東日本大震災と福島原発事故で農業、林業、漁業などの第一次産業は、はかりしれない被害を受けましたが、自然エネルギーによる発電は地域の資源を活かす現実的な事業となることが確信できました。

 

電力を選ぶ時代に向けて生協への期待

「原発でも火力でも、とにかく電気代が安い方がいい」「多少、値段は高くても、自然エネルギーで発電した電気を」…消費者の選択は世の中を変える大きな力になり、国のエネルギー政策にも大きな影響を与えます。

原発に頼らない社会を実現するため、どんなエネルギーを選択できるのか現実的な道筋を提案できるのは、長年、農産物などの産直を共同購入という形で展開してきた生協でしょう。食べものとともに、電力を通しても消費者と生産者をつなげることができるからです。同じように電力生産を行う地方自治体と都市部の自治体との提携も可能です。小規模な自然エネルギー発電が各地に点在する、新しいエネルギー供給の形が少しずつ見えてきています。

 

 

第二

「電力の共同購入」そして「農業とエネルギー事業の融合」

電力自由化時代に向けて先進的な取り組みを続ける団体の代表が、それぞれの事業概要を報告しました。

 

大潟村の自然エネルギー活用の取り組み

高橋 浩人・大潟村村長

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秋田県大潟村は八郎潟の干拓で、かつての湖底に誕生した村です。約12,000haに及ぶ肥沃な農地で、環境負荷を減らし自然を豊かに保つ環境創造型農業が行われています(約80%の農家が特別栽培や有機栽培に取り組む)。

しかし、海抜0m以下の広大な干拓地のため、排水機場を稼働させるための膨大な電力や、大規模農業を支える化石燃料を必要とします。このような課題解決やさらなる環境保全を実施するため「大潟村環境基本計画」を策定し、地域資源を利用した自然エネルギーの活用に取り組んでいます。

太陽光発電事業が始動しました。大潟村も出資して(株)大潟共生自然エネルギーを設立し、大規模太陽光発電所の設置を進めています。資金は村や村内の企業、村民のほか、パルシステム連合会、パルシステム山梨など大潟村と農産物の供給などでつながる団体や個人が出資し、売電収入に応じた配当金を支払う予定です。

農業も自然エネルギーも太陽が源。大潟村は食料と自然エネルギーの生産基地を目指していきます。

 

 

世田谷区における電力自由化への取り組み

保坂 展人・世田谷区長

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世田谷区は2012年から電力の入札を始め、公共施設の電力を東京電力から新電力(PPS)に80%以上切り替えました。これにより電気料金を大幅に削減するとともに、新電力の社会的な認知度を高めました。さらに「一般家庭でも電力を選べる」電力小売自由化の実現を、後押しすることにもなりました。

区では電力自由化を見据え自然エネルギーの利用拡大のため、さまざまな取り組みを進めています。たとえばイベントなどで交流のある自治体と連携して、自然エネルギーによる発電事業を支援する、燃料電池(発電した電気を水素にして蓄電)を活用した地域でのエネルギー循環などを検討中です。

また、2014年6月に神奈川県三浦市の区有地に、区営の太陽光発電所を設置しました。これは発電システムの施行・運営管理全体をリース会社に委託するもので、リース代は売電収入から支払います。半年間で約700万円の収益(2014年3~9月実績)があり、区の環境活動に活用しています。リースなので設置時の初期投資も必要なく、資金力のない自治体でも活用できる事業モデル。他への広がりを期待します。

 

 

「食糧も電気も産直!」を目指して

野々山理恵子・生活協同組合パルシステム東京理事長

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ロラン島ツアーに参加し私たちが目指す「食糧も電気も産直!」が実践されている現場を見て、私たちの方向性へ自信がもて、たいへん勇気づけられました。

パルシステム東京は生協自らが再生可能エネルギーの事業者となることを定めた、パルシステム東京エネルギー政策に基づき、2013年4月から子会社の(株)うなかみの大地で新電力事業を開始しました。2013年度はパルシステム東京やパルシステムグループの事業所28カ所に、再エネを中心にした電力を供給しています。2014年度上期(4月~9月)再エネ率は79.7%(2013年度は59.8%)。2015年までに再エネ率30%というエネルギー政策の目標を大幅に上回りました。

「パルシステム事業所使用電力に占める再エネ比率」 評価指標:◎90%以上、○70%以上、△は50%以上

供給電源項目(単位kWh)

4月

5月

6月

7月

8月

9月

小計

①パルシステム事業所使用量

901,163

992,796

1,118,089

1,292,564

1,289,254

1,128,697

6,722,563

②仕入れ再エネ電力量

769,615

708,218

880,069

945,468

1,159,713

896,460

5,359,543

再生可能電力比率②/①

85.4%

71.3%

78.7%

73.1%

90.0%

79.4%

79.7%

評価

提携する電源は農村の地元資源を発電事業に活用する発電所が中心。さくらんぼなど果樹の剪定枝を発電に利用する山形県のバイオマス発電所や、農業用水を利用する栃木県の小水力発電所などです。10月には、40年にわたってパルシステムの産直米産地として交流を深めてきた、山形県置賜地区が始めた小水力発電所との提携が始まりました(電源構成はバイオマス72.2%、小水力12.5%、太陽光15.3%)。安全・安心な食糧とエネルギーの地産都消のモデルとなると思います。

今後の課題は電源の確保です。農畜産物などの産直で培ってきた産地とのつながりを、軸に取り組んでいきます。現在、パルシステムグループ全体として、組合員に再エネで発電した電力を供給するシステム作りを検討しています。

 

「電力の産直」への期待と課題

シンポジウム終了後の質疑応答では「農地にメガソーラーを建設することは、農業衰退に拍車をかけることにならないか」「太陽光発電の買い取りを中止する電力会社が続出しているが、固定価格買取制度の見直しについてどう考えるか」「農業と共生する自然エネルギーのあり方は」「住宅設計の立場から、一般住宅に太陽光パネルを設置するのは建物への負荷が大きく、メンテナンスもたいへん。電気の産直に期待する」「省エネの重要性を今一度、確認したい」など、さまざまな質問や意見が交わされました。

将来を見据え、自然エネルギー拡大を明確に定める国としてのエネルギー政策の必要性や、地方での小さな発電事業を集めて、都市につなげる「電力の産直」の可能性を改めて確認しました。

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