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地域コミュニティ

「地域ささえあい連続講座 with ほっこりカフェ」児童養護施設と、そこで育った若者のことを学びました

2018年03月26日

  2月20日、パルシステム東京新宿本部で、パルシステム東京関連団体の一般社団法人くらしサポート・ウィズ、NPO法人ゆったりーの、ワーカーズコープ東京中央事務局の3団体による共催で「働きたいけど不安・・・若者の気持ち、そして打開策」が開催されました。

  第1回は「社会的養護のもとに育った若者のことを知ろう」と題して、社会的養護、児童養護施設の現状を知るために、児童養護施設の施設長をつとめる早川   悟司氏のお話を伺いました。

  「社会人になって、自分で稼いだお金で生活をする」ことが誰でもできる当たり前のことではなくなってきている現在の日本。この企画は大きな社会問題となっている若者が抱える生きづらさについて知り、何ができるかを考える機会となりました。

早川氏

 

  早川  悟司 氏  プロフィール

  1969年生まれ。日本福祉大学大学院卒。社会福祉士。
  児童養護施設「子供の家」施設長
  共著に『子どもの未来をあきらめない-施設で育った子どもの自立支援』
  (明石書店)他。

 

 

まずは、知ることから。 社会的養護の現状と背景

社会的養護

 

子供の家

「児童養護施設」はどういうところ?

・何らかの事情で家族による養育が困難な2歳~おおむね
   18歳の子どもたちが生活するのが児童養護施設

・就職、進学の支援、施設退所後の子ども たちのアフター
   フォローも児童養護施設の役割

※写真は早川氏が施設長を務める、児童養護施設子供の家
(東京都清瀬市)

 

児童養護施設の子どもが、高校等に就学しなかったらどうなるの?
社会的自立能力の未熟な子どもほど早期の「自立」を強いられている

 まず講師の早川氏から、社会的養護に基づく児童養護施設などの現状についてお話を伺いました。

小シャボン玉

義務教育を終えた児童養護施設の子どもが高校等に就学しない場合、18歳未満でも保護対象から外れ、
施設にいることができない

・進学しない子どもの中には高等教育に就学するだけの学力のない 知的障がいや、生きづらさを抱える
    発達障がいの子どもも少なくない
・施設によって公立高校にしか進学できないところも。
・門限や進学など、入所する施設を子どもが選んでいるわけではないのに、子どもの待遇は施設ごとに
    違うのが現状。→施設間格差がある


小シャボン玉

高校等に就学していない子どもが入ることができる「自立援助ホーム」とは

・15歳~20歳の高校等に就学していない、児童養護施設にいられない子どもや、少年院等から
    退院した子どもの受け皿としてある『自立援助ホーム』
・『自立援助ホーム』は子どもが働いて月約3万円の寮費を払うことで住むことができる施設
・しかし、障がいがあり働けないなどの理由で寮費を払えない子どもはここに住むことができない。

 

義務教育を終え、高校等に就学しない場合、児童養護施設を出なければ いけないという
社会的養護の矛盾点

早川氏2

 子どもを公の責任の下で保護する仕組みがあるにもかかわらず、上記のように2歳から18歳までの子どもが生活できるはずの児童養護施設に住めなくなってしまう子どもがいます。しかも、その受け皿となる自立援助ホームには、寮費が払えないと入居することはできません。
   「このことは社会的養護の最大の矛盾であるし、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」違反ではないかと私は思います。 保護者がいて衣食住に困っていない子どもでも、十代で自分ひとりで生活をしていくだけのお金を得るのは大変ですね。保護者のいない子どもの置かれる状況はもっと過酷です。」と早川氏は話します。

 

 

保護者のいない子どもがひとりで社会に出たらどうなる?

小シャボン玉

中卒、高卒の子どもが社会にひとりで放り出されたら・・・

・保証人がいなければアパートを借りることや、正規の仕事に就くことは非常に困難。
・住むところも頼る人もない子どもの場合、男の子は今一番多いのが振り込め詐欺の「受け子」。
    保護者のいない子どもは都合よく使い捨てにされ、暴力団の組員になるなど犯罪に巻き込まれて
    しまう。
   ※累犯者(犯罪を繰り返す人)の3割は施設出身者、3割は知的障がい者や精神的弱者と言われている。
   女の子はスマートフォンの出会い系アプリで男性と知り合い、一晩の宿と食事をもらう代わりに自分の体を
   提供する、いわゆる「神待ち」で暮らしていく子どもも多い。→性犯罪の被害者に
・不安定な生活、望まない妊娠、出産、一人の子育て、貧困、 その子どもも低学歴、貧困...
   とつながっていくことも多い。


  十代で不安定な状況に陥った人が、その後安定した人生を送ることは極めて難しいと言われます。早川氏は「一度不安定な状況に陥ってしまうと、ここから安定した生活に戻ることは極めて難しくなります。その子どもが施設にいる間だけでなく、20歳代前後の時代をどう支えるか。しっかりした自立のためにはここが一番大切だと私は思っています。」と訴えます。

 

社会的養護の課題-子どもの保護者も支援できるように-

小シャボン玉

児童養護施設でくらしている子どもは、家庭でなんらかの虐待を受けたとされる児童が大半

  ・その家庭の保護者の状況で多いのは、親自身が満足な教育を受けられなかったことから
    「低所得」であり「社会的孤立をしている」のが特徴。
・児童扶養手当は月額42,330円だが、これは年収100万円を超えると減額
・生活保護の申請は、必要としている人の8割は通らない。
・非正規雇用の保護者は小さな子どもを一人家に置いてダブルワーク、トリプル ワークでぎりぎりの生活費を
    稼いでいるのが現状。
・保護者が長時間働いている間にひとりで留守番せざるを得ない小さな子どもは、虐待とみなされ
    児童養護施設に保護されることも。


  最後に早川氏は、今後の社会的養護のあり方について言及しました。

「『子どもを産んだら自己責任で育てるのが当たり前』と個人に押しつける日本の社会が児童虐待を生んでいるのだと私は思っています。 児童福祉法も少しずつ変わってきていますが、子どもの保護だけでなく保護者が安心して子育てできるような支援(キャリア保証、経済支援)と、社会的孤立を防ぐこと。 これを緊急に国の責任で行うことが必要だと思います。」

講演風景

 

参加者アンケートより

 「想像以上に厳しい現実があることを改めて知ることができました。」

 「国の福祉政策等を学んでいますが、児童福祉手当などとても最低限度の生活に足りるとは思えません。昨今の「地域で見守る」も地域に丸投げだと思います。」

 「お話から、新聞や本を読むだけではわからないことをたくさん知ることができました。」

   などの感想がありました。

 

桜

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